新駅を核にした新たなまちづくりを――。30年来の検討課題だった村岡新駅の誘致が本格的に動き出した。県、藤沢、鎌倉両市がこのほど設立した設立協議会は、これまで個別に検討していた3者が実現に向けていわば”スクラム”を組んだ形だ。JR側も整備には前向きといい、関係者は実現に意欲をにじませる。
「今後、私自身が先頭に立って(新駅設置の)要望を行いたい」
12月27日、県庁で行われた共同会見で、黒岩祐治県知事はこう意気込んだ。
新駅構想は国鉄湘南貨物駅が廃止された翌年の1986年に藤沢市議会が村岡地区自治町内会連合会の請願を採択したことに端を発する。翌87年からは県内自治体と経済団体から成る「鉄道輸送力増強促進会議」を通じて新駅設置を毎年要望。ただ、実現に向けてはこれまで費用負担などで3者の足並みが揃わず、計画が前進してこなかった経緯がある。
またJR側からも新駅設置の要望に関しては「収益が増加することや地元の協力が得られることを総合的に判断して検討する」との回答を得ており、説得材料を示せるかが実現の鍵だった。
転機になったのは、17年度に両市が実施した便益や経済効果に関する調査結果だ。利用者の通勤時間の短縮など直接効果は2市合わせて年間64億円。地価上昇による固定資産税や人口増加による市民税の増加などの経済効果は、藤沢市が年間約13億円、鎌倉市が約16億円との見通しだった。両市が新駅によるメリットが得られることが、合意に向けた調整を加速させたとみられる。
新駅周辺のまちづくりについては藤沢市の村岡地区(8・6ha)、鎌倉市の深沢地区(31・1ha)をシンボル道路でつなぎ、一体的な整備に取り組む。合意では、自由通路と南口駅前広場、シンボル道路は藤沢市が、市境の柏尾川を渡すシンボル橋は鎌倉市が費用負担することで一致している。
医療の先進拠点へ
一方、村岡地区に隣接する武田薬品工業の研究施設「湘南ヘルスイノベーションパーク」では、産官学が連携した医療や健康産業の拠点づくりが進む。県は昨年4月、同社と覚書を結び、医療や健康部門での新産業の創出を目指している。
黒岩知事は同日の会見で「新たなヘルスケアイノベーション拠点として大変期待している。両地区のまちづくりと新駅設置の効果を高めていきたい」と強調。鈴木恒夫藤沢市長は「藤沢鎌倉両市にとって相乗効果が期待できる。概略設計の結果を見定めた上で、事業を進めたい」と述べた。
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