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藤沢 経済

公開日:2023.07.14

活動の軌跡【2】 2023年度神奈川県県民功労者表彰の受賞者を紹介します
同業組合の意義、後進へ
神奈川県美容業生活衛生同業組合副理事長菅谷 俊之さん(70)

  • 「若い人に組合の存在や意義を伝えていきたい」と話す菅谷さん

 同業組合の組合員は互いに見れば別の店の美容師、いわば「商売敵」だ。組織に名を連ねることの意義は何か。それを後進に伝え続けている。

 金融機関から借り入れる際の金利が安くなることや万が一事故があった場合に備え、保険に自動的に加入することは序の口だ。美容室を開業したうち3年後に残るのはわずか1割とも言われる。設備投資や経営ノウハウ、店の中で完結しがちな人間関係を外に広げ、課題や解決策を相談し合えることも利点と強調する。「独立に躍起になっている若い人はそういう知見が欠けていることが少なくない。5、10年後を考えれば視野は広いに越したことはないはず」

 組合員拡大の一方、力を注いできたのが訪問美容の普及。目指すのは、施設などに赴くボランティアとしてではなく、個人顧客に対する生業としての確立だ。高齢化に伴う介護関係人口の増加。美容院に通いたくても通えないというニーズの高まりを踏まえれば、善意に頼るだけではなく業界の仕組みとして定着させるべきと考えた。

 訪問美容の必要性は、実体験を踏まえて痛感している。近所に暮らす認知症の高齢女性が、家族の介助で店に訪れたときのことだ。パーマをかけ終わり鏡を見ると表情に乏しかった顔が笑みに満ちた。「昔はね」。会話も弾むようになり、その後女性は介助なしでも足を運ぶように。「おしゃれは心の栄養になる」ことを目の当たりにした。

 25歳のとき辻堂で開業して早45年。妻で美容師の博子さん(66)は日々職場で過ごすパートナーでもある。「仕事のことを話さなくていいのが楽。お互いに全部わかっているからね」と屈託なく笑った。

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