大磯出身のハワイ移民・後藤濶に関する著書を出版した 堀 江里香さん 名古屋市在住
研究の要は丁寧な現地調査
○…後藤濶に関する長年の調査と検証を基に、ハワイや米国本土の日系人の歩みと多文化共生の問題について考察した自著を7月に上梓した。「後藤濶については近年まで米国はもちろん、出身地の大磯町でも知られていなかった。先行研究も少なく手探り状態で調査を始めたが、ハワイや米国本土、大磯など調査の過程で出会った多くの方のご協力で様々な新発見があり、本著の出版に繋がった」と感謝する。
○…名古屋市出身。幼少期に祖父から聞いた、ブラジルへ移住した愛知県の人々の話が強く印象に残り、高校生の頃から多文化共生に関心を持った。名古屋大学在学中に経験した1年間の米国留学を機に「米国の大学院で人種やエスニシティ、移民の問題などについて専門的に学びたい」と志し、2004年に皇太子明仁親王奨学生としてハワイ大学大学院へ留学、夢への一歩を踏み出した。博士号取得後は米国テキサス州の大学で2年間の客員研究員などを経て、現在は名古屋大と名古屋外国語大で講師を務める。専門はハワイ日系人史、アメリカ社会史。
○…足を使った丁寧な調査がモットー。現地に赴き人々にインタビューをすることで、文献調査では見えてこない「声」を拾い上げることを重視している。後藤濶の調査でもハワイや大磯だけでなく、米国各地の関連史跡や史料館などに足を運んだ。「ハワイで点在する集落や墓地、サトウキビ農場の跡地などを歩きながら『120年前、後藤濶はこの地で何を思ったのだろう』と思いを巡らせた」と調査に没頭した日々を振り返る。
○…夫と息子2人の4人家族。ジョギングや旅行、幼少期に習っていたピアノや水泳が趣味。カフェで読書も嗜むが「今は自粛中」と一日も早いコロナの収束を願う。
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