大磯町教育長に4月1日付で就任した 府川 陽一さん 大磯町国府新宿在住 74歳
学ぶ喜びに導かれ
○…地元大磯の教育長に4月1日付で就任した。部活動の地域移行や教員の労働環境改善など、過渡期とも言える時期に回ってきた旗振り役。地元スポーツクラブから指導者を派遣する「大磯式部活動」も今年度から始まり、「教員にとってはもちろん、子どもたちにとっても地域の大人と関わる機会として良いものになるはず」と期待する。「今後は複数の教員がチームを組みクラスを受け持つチーム学年担任制なども検討していきたい」と意気込む。
○…早稲田大学文学部出身。1年以上はストライキで休校という、学生運動の最中のキャンパスライフだった。授業がない日々に痺れを切らしていたところ、友人の誘いで教員が自主的に開いている講義に参加。ユダヤの建国についての内容だった。「なんでこんなに打ち込めるんだろうと思うほど、研究への熱を感じた。自分も何か専門を持たなければと思った」。「先生とは偶然同郷だったこともあり、特別に喫茶店でプリンを奢ってもらったのが思い出」とにっこり。自分が探求したことのおもしろさを、子どもたちに伝えられるようになりたいと、教師の道に興味を持った。「先生との出会いは、自分にとって幸せだった」と振り返る。
○…平塚市内の中学校で歴史を教えた。「熱血でおしゃべりな教師だった。人気はあったんですよ」とはにかむ。授業の半分はおしゃべりで、「先生、授業をしてください」と生徒に嗜められたことも。「生きるとは」などの哲学的な問いかけに対する、子どもたちの多様な反応を見るのが喜びだった。「教員の仕事は、子どもたちが既に持っているエネルギーを引き出すこと。僕が恩師から学ぶ楽しさを知ったように、光を当てていきたい」