昨年の震災後、「子どもの安全とは何か」を考えさせられることも多かっただろう。目に見えない「放射能」においては、一過性ではなく、今後も私たちが避けることのできない問題となっている。
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昨年春以降、「食の安全」への危機感を募らせる保護者が増えた。学校施設での「給食」だ。食品への放射能汚染が報道される中、昨年6月の時点で、市教育委員会では「お茶や弁当を持参したい」という保護者に対して、学校長の判断で受け入れを認めていた。その後、「食材の安全性に不安がある」「産地を知りたい」等の声に応える形で、市では給食で用いる全ての食材産地を公表。昨年後期からは、給食に使用する食材のうち3品(月1回)の事前検査を実施。さらに、実際に児童に提供した給食1食分を1週間ごとにまとめて測定する「まるごと方式」を他市に先駆けて始めた。今年度も、産地公表と事前検査、提供食の事後測定は継続して行われている。
だが、乳児・幼児のいる保育所については、動きが鈍い。保育所自体の規模が30〜120人とバラつきがあり、食材の調達も各園で行い、かつ少量なため「小学校のような産地の公表・把握や検査は現実的に難しい」と市保育課は話す。「市場に出回っている食材に関しては安全」という前提で、各園には厚労省からの情報をもとに指導する―に留まる。他自治体を見ると、検査方法・対象期間の違いはあるものの、相模原市や藤沢市・鎌倉市などでは食材の検査や産地の公表を行っている。こうした他市の動きを受け「横須賀市でできることを、今年度中に検討したい」と市担当課。「もう少し迅速な対応を」という保護者の声も聞かれる。
そしてもう1つ、昨年11月、市内の学校施設・保育所・幼稚園・公園などで一斉に「除染」が行われたのは記憶に新しい。側溝や雨どい下の放射線量が高い「マイクロスポット」の現象が市内でも多く見られ、測定と除染が行われた。基準値を超える土砂は、仮処分として敷地内に埋めている。埋設地付近の放射線量を再度測るなど、対応はしているものの、あくまでもこれは仮置き。その後の処分方法などは、現状でも未定だという。食品・土壌を含めた放射線量の計測は一度行ったら大丈夫―とは言い切れないものだ。さらに、保護者と教職員側双方の放射線や除染に関する知識・理解も必要となる。保護者の不安の軽減が目的ではない。子どもの「健康と安全に万全を期すため」に、継続した姿勢が求められる。
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横須賀市の小学校給食では地産地消への取り組みに積極的だ。生活の基盤となる「食」を通して学ぶことは多い。一方、中学校への給食導入に関しては、各方面で声が上がっているものの、大きな議論にまで及んでいない。様々な視点で「将来を担う子どもたちの生活環境」に、どのように取り組むのか―。これらも含め、子育て支援のテーマとなるはずだ。
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