戦没者眠る墓きれいに 馬門山墓地の修復進む
旧海軍の戦死者・殉死者のために設けられた馬門山(まもんざん)墓地(根岸町1の5)にある個人墓石などを修復する作業が4月から行われている。約130年の歴史がある同墓地の一角は墓石の倒壊など荒廃が進んでおり、現状を憂慮した公益財団法人「水交会」が呼びかけ、地元の石材店の協力を得て工事を進めている。
約2万5000平方メートルの丘陵地にある同墓地は、地形によって上・中・下段のエリアに分かれており、今月で下段の修復がほぼ終了する。残すところ中段の墓石だけとなった。
修復作業が始まったのは今年4月。下段と中段の通路脇に広がる墓石の老朽化が激しかったためだ。長い年月によって石が劣化し崩れてしまったものや、雑草が土を盛り返し墓石が倒れてしまったものなど、燦々たる状態だったという。
修復に乗り出したのは、海上自衛隊OBらが集い、慰霊顕彰や海自が行う活動への協力支援を行う公益財団法人「水交会」。同会の高嶋博視さんが中心となり、知り合いの町内会長のツテで本町の相川石材店が協力することになった。
同墓地は1882年(明治15年)、海軍省により「馬門山海軍埋葬地」と定められ、横須賀鎮守府が管理していた。戦後、海軍省が廃止されると、1951年(昭和26年)に市に譲与され市営墓地となった。
上段のひらけた土地には先の大戦での戦没者などを供養する慰霊塔が7基ある。中段や下段には士官や一般兵などの墓が279基建つ。現在は「横須賀風物百選」にも選ばれ、緑の木々に囲まれたのどかな墓地だ。
同墓地の修復要望は以前からあったというが、管理している市健康総務課は「個人の墓であるため、市が勝手に介入することはできなかった」と事情を明かす。
毎年5月に同墓地で墓前祭を主催する水交会横須賀支部の本多一雄事務局長は「先人の遺徳を偲ぶのは大切なこと。修復を呼びかけてくれた本部には感謝している」と話す。
作業は9月末に完了する予定。
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