鶴見区 人物風土記
公開日:2024.01.01
事故で左腕の機能を失ったが、パラ五輪の陸上で金メダルを目指す
東山 祐汰さん
馬場在住 22歳
希望を与えられる選手に
○…「片腕の感覚がない。衝撃でした」。2020年の夏、不慮の事故で左腕の機能を失った。片腕だけで済んだことが奇跡と言われるほどの事故だった。「病院で意識が戻った時に全てを察した。ベッドにいる時間が長くなるほど、先が真っ暗になっていきました」と当時を振り返る。
○…鶴見区出身。父は花月園競輪でも活躍していた競輪選手で、幼い頃からその姿を見てきた。自身は高校時代まで柔道に打ち込み、全国大会に進出するほどの実力者だったが、父親の背中を追い、高校卒業後は競輪選手を目指した。その矢先に起きた事故。「ポジティブが売りの自分も、当時は本気で死のうと思っていた。何も考えられなかった」。競輪やスポーツ、今まで夢見て目指した世界の扉が閉ざされた瞬間だったが、家族は諦めずに応援し続けた。手術を受けるために山口県の病院へ入院した時は、コロナ禍もあり直接の面会ができなかった。「でも、家族全員が病室から見える駐車場に手を振るためだけに何度も来てくれた。どん底から這い上がれたのは間違いなく家族のおかげ」と噛み締める。
○…周囲の助けもあって1年間に及ぶリハビリを乗り越えた。「自分を天才と思える才能で挫けずにできた」と笑う。それからは「挑戦できることは全部やろう」と意気込み、アルバイトも始めた。スポーツ施設にも通い、出身校が同じスタッフと相談し、陸上の道を目指すことを決意した。
○…1月から企業所属選手として、パラ五輪での金メダル獲得に向け歩み始める。「自分の姿を見て『私も頑張ってみよう』と思ってもらえる選手になれるように」。苦難の時を支えてくれた希望を次は誰かに届ける番に。新たな世界のスタートは切られたばかりだ。
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