「おもちゃよりメダルがほしい」
はつらつとした表情で日々卓球の練習に励む姉弟。小杉小学校3年の細川柚貴(ゆずき)さん(8)と幼稚園に通う弟の桜馬(おうま)君(6)=偉関TTL所属=だ。溢れ出るのは「卓球が好きでたまらない」という一途な思い。幼い二人の目は既に、日本一を見据えている。
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柚貴さんが初めてラケットを握ったのは4歳11カ月。おもちゃでは満足せず、エネルギーを持て余す様子を両親が感じていた。父・貴志さんは卓球の名門校出身。「熱中できるものを与えたい」と、地元卓球クラブの門を叩いた。「ラリーができるようになって、ラケットに球が当たるのがうれしかった」と、はにかむ柚貴さん。週1回だった練習を、すぐに2回、3回と増やし、個人レッスンも開始した。「自信が付いたのか、内向的だった柚貴が、周りと積極的に関わるようになった」と母・美智子さんは振り返る。
姉の影響を受けた桜馬君は3歳で自宅練習を始め、4歳3カ月でクラブに。起きている間はずっと素振りをしているといい、年中でラリー200回を達成。「成長のスピードは姉以上」と貴志さん。桜馬君は「スマッシュが得意なんだよ」と元気に話す。
姉の快挙、弟の門出
2018年、小1だった柚貴さんは全日本大会の県予選・小2以下の部を4位通過で全国へ。これを機にクラブに実力を認められ練習を強化。翌年も順調に勝ち進み、決勝で互角とされる2人に立ち向かった。結果は全員が1勝1敗。得失点差で優勝を手にし、2年連続で全国へ駒を進めた。全国でも持ち前の攻撃性を発揮し打ち合いを繰り広げるも、トーナメント戦で敗北。結果はベスト32。全国の強さを目の当たりにし、「次はもっと上の場所にいたい」とステップアップを誓った。
桜馬君にとっては今年は転機の年。1月のオープン戦で試合デビューを果たすも、緊張から日頃の成果が出せず0勝2敗1棄権と悔しい結果に終わった。だが桜馬君にとっては悔しさが燃料。練習を怠らず、先月行われたクラブ内の大会・初心者の部では、大人相手に得意のスマッシュを連発し、準優勝を掴むと「うれしかった」とにっこり。「次の試合では、オープン戦で負けた子に勝ちたい」と、小さな体に闘志を燃やす。
二人で頂点目指す
今年3月、同年代の多い赤羽にある偉関TTLに移籍。本場・中国の元五輪金メダリストのもと、遊ぶ間も惜しみ平日は3時間、土日はみっちり8時間半の猛練習に励む。「強くなって試合で勝ちたいから、いっぱい練習する」と真っ直ぐな目で話す。二人して負けず嫌いで、悔し涙を流してしまうことが弱点としつつも、その負けん気が強さを裏打ち。桜馬君に至っては「この歳でここまで練習できる子はいない」とコーチも驚くほどだ。指導を全て飲み込み基礎を固める柚貴さんと、試行錯誤してスーパープレイを生み出す桜馬君。スタイルは対局だが、互いを「すごいんだよ」と称え合う。
「卓球が大好きだから、おもちゃよりメダルがほしい」と輝かしい目で語る姉弟。そんな二人を父は自主練の相手をし、母は送り迎えをしながら見守る。「目標は日本一、夢は指導者」。同じ志を胸に、突き進む。
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