中原区 文化
公開日:2026.07.03
苅宿在住黒木さん 昼は高校教諭、夜は花火師 川崎の「夜空を彩る」思い
市立川崎総合科学高校定時制(幸区)で工業科の教諭を務める黒木竜樹さん(28・苅宿)。昼は教壇に立ち、ものづくりの楽しさを伝えているが、夏を中心とした花火シーズンには、もう一つの顔である「花火師」として関東近郊の現場へ出動する(活動は川崎市より「営利企業従事等の許可」を正式に得て行っている正当なもの)。
花火の世界に足を踏み入れたきっかけは、大学時代に所属していた花火を打ち上げるサークルだった。プロの花火師から指導を受ける中でその奥深さに魅了され、現在は国から交付される「煙火消費保安手帳」を持つ打ち上げ専門のプロとして、数々の花火大会を支えている。
ものづくりの醍醐味(だいごみ)
花火師としての最大のやりがいは、観客のダイレクトな反応だという。黒木さんは「朝早くから猛暑の中で設置作業を行い、本番はいつもドキドキする。しかし、夜空に大輪の花が開いた瞬間、会場から一斉に湧き上がる歓声や拍手を聞くと、全ての苦労が吹き飛ぶ」と話す。花火の打ち上げは、花火師の感性や職人技が大きく関わっている。場所や気象条件、火薬の種類など、現場ごとに最適なタイミングを見極めて点火していく。「毎回新しい発見があり、正解のないものづくり。そこが一番の魅力」と言い、その「安全に、美しいものを作る」という姿勢は、工業の授業とも深く共通している。
伝統を未来へつなぐ
安全管理への意識は人一倍強い。大きな花火大会の現場においては、大量の火薬を取り扱うため、国家資格である「火薬類取扱保安責任者」を置く決まりがある。黒木さんも猛勉強の末、この資格を取得した。華やかな舞台の裏には、日頃の体力作りや厳格なルール遵守といった外からは見えない努力がある。
現在、花火業界は原材料の高騰や花火師の高齢化など、先行きが不透明な課題に直面している。多摩川を擁する川崎市は、古くから花火と生活の距離が近い地域。「将来、今の子どもたちが大人になったときに、自分たちが見てきた本物の花火を次の世代へと引き継いでいってほしい」と、空を見上げて伝統を守る決意を熱く語った。
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