『六甲おろし』『赤城の子守唄』などの作詞で知られる、川崎区出身の詩人・佐藤惣之助の功績と、沖縄との交流の歴史を広く知ってもらおうと、日本映画学校(現日本映画大学)出身の映画監督・喜屋武(きゃん)靖監督(58)が、映像製作に取り組んでいる。惣之助の没後80年にあたる今年、5月に計画されている川崎市と那覇市の友好都市締結を記念した式典内や、秋に両市で上映する予定だ。
惣之助は1890年、川崎区砂子で生まれ、『六甲おろし(大阪〈現阪神〉タイガースの歌)』や沖縄で広く愛唱されている『美わしの琉球』などの作詞を手がけた。1922年には沖縄本島や離島を巡り、現地の風物や風俗を歌った『琉球諸嶋風物詩集』を発行。沖縄出身の詩人とも交流を持つなど、沖縄を愛した。
詩碑移設に川崎市民も協力
沖縄県那覇市には、惣之助の詩碑が建てられている。1959年に琉球大学敷地内に建立されたが、首里城の復元工事に伴い、首里城から北東に離れた虎瀬公園へ移設。その後、本来の建立場所に戻そうと運動が展開され、川崎市内でも移設支援の募金運動が行われた。2017年に那覇市議会本会議で首里城公園への移設が全会一致で採択。昨年、首里城公園に戻された。
沖縄と川崎の絆盛り込む
映像作品は『佐藤惣之助詩碑 川崎・那覇・沖縄 百年の絆』と題し、詩碑のエピソードや背景、川崎と那覇・沖縄の百年を超える交流史を3段階に分けて紹介。第1弾は、那覇市歴史博物館の企画展で今月7日から上映。第2弾は川崎市と那覇市の友好締結日である5月20日に検討されている記念式典、第3弾は両市で今秋公開する計画で、第3弾が完全版。
完全版の映像には、沖縄芸能文化の盛り上がりから、川崎駅前で15年以上開催されている「はいさいFESTA」へのつながり、詩碑建立から友好都市締結に至る経緯、友好式典の様子などを収める予定。
喜屋武監督は、移設支援の募金運動を通じて惣之助を調べ直し、各地の講演会で惣之助の偉業を紹介。次第に「映像にまとめて伝えたほうが良い」との思いに至ったという。那覇市出身で、麻生区の日本映画学校卒業生でもある喜屋武監督。「那覇で19年、川崎で27年生活していた。両市民の血が流れ、気持ちを知っている」との思いも、映像製作に駆られた理由に挙げる。
市内では昨年末、作品を応援する実行委員会が発足。製作協力金を募るクラウドファンディング(https://motion-gallery.net/projects/bond_kawasaki-naha)への支援を呼び掛けている。
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