女子プロボクサーの世界チャンピオンとして初の防衛戦に挑む 花形 冴美さん 高ヶ坂在住 34歳
掲げた拳で未来を開く
○…リングネームの「花形(本名は田中)」は師匠であり、元世界チャンピオンの花形進氏から譲られた。かつては北里大学に進学し、医者を目指していたこともある異色のボクサーだ。中学時代はジェフユナイテッド市原・千葉レディースのサッカー選手。進学校に進み、高校、大学ではハンドボールに打ち込んだ。格闘技にはずっと憧れていた。ボクシングの魅力に取りつかれ、3年で大学を中退。「勉強はまたできるが、ボクシングをやるには今しかない」。周囲の反対を押し切った。
○…日本ボクシングコミッション(JBC)が女子を解禁後、プロテストに合格。女子プロボクサーとしては1期生にあたる。昨年9月、プロになって10年、5度目の挑戦で悲願だった世界チャンピオンの座に付いた。ベルトや王座が欲しかったわけではない。「あきらめなければできるということを証明したかった」
○…孤高なイメージのあるボクサーだが、人一倍明るく、よく話す。人が大好きで、時間があれば友人たちと遊ぶ。「よほど疲れていない限り、一人でいることはないですね。さみしがり屋なんです」。高校時代からの友人もボクサーになったことを「冴美らしいね」と応援してくれる。
○…ボクシングは「自分と向き合うスポーツ」だと思っている。相手よりも自身との戦い。そんなところも自分に合っているのかもしれない。母は大学を辞めることも、ボクサーになることも大反対。それでも全試合を見に来てくれる。王者になったときに初めて「よくやった」とほめてくれた。結婚もしたいし、年齢的に将来のことも考える。いつまでもできることではない。「だから今はボクシングに集中し、精一杯やりきりたい」。掲げた拳は未来を切り開くためにある。
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