横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2011.09.09
横須賀市自殺対策連絡協議会の委員長を務める
大滝紀宏(としひろ)さん
湘南病院副院長 56歳
諦めなければ道は開ける
○…9月10日から1週間は自殺予防週間。自殺はどうすれば防げるのか。医師、警察、民生委員など様々な現場の関係者が意見交換を行う自殺対策連絡協議会で委員長を務める。その一方で、精神科医として多くの患者と向き合う毎日だ。「自殺対策=うつ対策では物足りない」が持論。どうすれば人が「生まれて良かった」と誇りをもてる社会になるのか。根源的とも言える問いの答えを探し続ける。
○…精神科医を志した原点を尋ねると、学生時代から人間に興味があったのだという。人の誕生や成長・変化の色合いが濃い産科や小児科にも惹かれたが、「心」に対する興味が加わり精神科医に。ここ横須賀で患者と接して25年。日々感じるのは「どうして生きづらい社会になったのか」。労働環境で広がる成果主義に疑問を投げかけ、とりわけ若い世代を気にかける。「若者が夢を語れる国にしたい」と自身の夢を語る。
○…「あなたの気持ちを分かりたい。だから教えて下さい」。これが診察時の決まり文句。患者は皆優しく、立ち直る勇気がある。それが現場の実感だ。10年前まで数年間受けもっていた男子中学生の姿が思い浮かぶ。その学生は定時制高校に通うようになり別のクリニックに移ったが、学校での楽しかった思い出が綴られた手紙が卒業時に届いたという。「患者さんが自分らしい道を見つけてくれた時は本当に嬉しいです。諦めなければ道は開けます」。
○…取材中も仕事の電話が引っ切り無しに鳴り、多忙を極める毎日。そうした中でも趣味の話になると表情がほころぶ。野球はベイスターズの大ファン。98年にリーグ優勝を決めた瞬間、甲子園のネット裏から歓声を上げたほどだ。湘南シーレックスの最終戦は横須賀スタジアムで応援したという。他にも映画にカメラと趣味はたくさん。人の役に立つ喜びを感じながら、自分の好きな事も見つける。そこに、問いの答えのヒントがある気がした。
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