でこぼこ道の子育て記 25.「成年後見制度」の活用一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
皆さんは『成年後見制度』をご存じですか? 耳にしたことはあっても、よく知らない…という方も多いのでは。私自身、義父の介護をするまで、この制度について考えたことはありませんでした。一言でいうと「意思能力が低下し自分で金銭・財産を管理することが困難になった人の代わりに財産管理を行うこと」で、個人の財産を法律で守ることができる制度です。
義父がこの先、病気が進行するにつれ自分で金銭の管理が出来なくなっていくことは明らかでした。すでに銀行でお金を出し入れしたり、送金したりという日常的な作業が難しくなり、私が代わりにやっていました。義父は「私に任せていれば安心だ」と言っていましたが何せお金のこと。後々揉め事になったら…なんて思うとこのままではやっぱり不安。意思がしっかりあるうちに「成年後見制度」の申し立てをしたいと、夫や娘にあたる義妹にお願いしました。医師の意見書をはじめ多くの書類が必要で、後見人として認められてからも年に1回、裁判所へ収支報告をしなければなりません。決して楽ではありませんが、今まで懸命に働き、築き上げてきた財産を守るため、夫や義妹、そして本人に十分に理解してもらい、手続きを進めました。
そうして、義父が亡くなるまで毎年、収支報告義務を果たしながら夫と二人で財産を管理しました。この時・このタイミングで手続きをしておいて本当に良かった、と実感しています。
-次回に続く
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