横須賀・三浦 コラム
公開日:2026.10.16
わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編 【18】パソコン室での告白「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」
この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。
ここはパソコン室。息を大きく吸い、言葉を吐く。「私の妹は障がい者です。だから今度の授業参観で迷惑をかけるかもしれません。先に謝ります。ごめんなさい」。静寂を埋めるように言葉を重ねた。「アンジェルマン症候群という障害で、話すことも歩くこともできません。泣いたり叫んだりするかもしれない。ごめんなさい」。謝る意味なんて分からなかったけれど、非難から身を守るために言葉を放って言い逃げたかった。
数秒の沈黙の後、先生と目が合う。降壇させてほしかったその時、幼馴染が声を上げた。「妹ちゃん、かわいいから大丈夫だよ!」それに続くように友人たちも口々に言い立てる。「迷惑じゃないよ、平気!」「あんなにかわいいんだから!」教室全体が温かい「何か」に包まれた。先生の表情も穏やかだ。その光景がどこか薄気味悪かった。
その日の夜、母に出来事を話した。妹のこと。参観に来ても良いこと。クラスのみんなが受け入れてくれたこと。どうやら「かわいい」ことで許されるらしいこと。
話しているうちに涙がこぼれていた。嬉しかったわけでも、悲しかったわけでも、優しさに触れたからでもない。「かわいい」から許されるわけではないことを、今後妹に降りかかる不条理や不幸が「かわいい」という言葉では消えないことを知っていたからだ。
結局「かわいい」なんて何の意味もないのに。何も知らないくせに。他人はいつも勝手だ。
-次回に続く
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