矢部ふさおの「花たれ雑記」〜新春特別編〜 東京五輪セーリング会場の行方は
新年の幕開けは気持ちも改まり、清々しいものです。皆様は健やかな年の始まりをお過ごしでしょうか。さて、毎月小生が連載しております「花たれ雑記」ですが、今回は新春特別編として、逗子・葉山にとって明るい兆しのあるお話をさせていただこうと思います。
2020年の開催が決定している我が国での2度目の夏季オリンピック。これまでのところ、東京都は選手村を中心とした半径8Km以内に8割の会場が収まる「コンパクトな大会」を全面に押し出し、会場配置計画を進めてきましたが、最近になって風向きが少々変わってきました。
昨年11月、東京都はコスト減優先を理由に五輪競技に使用する10の会場について計画の見直しを行い、3施設の建設を中止したほか、遠方の既存施設や建設中の施設に変更する方針を打ち出しました。見直しにはセーリング競技が行われる予定の若洲の施設も含まれています。
これは国際オリンピック委員会(IOC)の意向を受けてのもの。当初は1都市開催を原則としていましたが、ホスト都市の負担減のため方針を転換し、他都市開催や特例的には他国での開催も容認しました。このことにより、東京以外の都市であっても競技種目によっては開催地の栄誉を受ける機会ができました。地方都市にとってはまさしく朗報です。
葉山港を共同開催地に
近傍の都市に目を向けると藤沢市が江の島の湘南港でヨット競技開催のエントリーをすでにしています。そこで提案なのですが、湘南港に葉山港を加え、共同開催地として早急に計画を練り直してはいかがでしょうか。皆様もよくご存知の通り、葉山は「日本ヨット発祥の地」。今も葉山港近郊ではセーリング競技が日々活発に行われており、平成10年の神奈川国体では成年女子のヨット競技が行われ、湘南港とともに競技会場として活用されました。
もちろん実現に向けた課題はありますが、セーリング競技は自然が相手。風向や風力、潮流が重要な要素を占めます。南東に開く湘南港と南西に開く葉山港は距離もさほど離れておらず、両施設を整備することで競技日程もスムーズに進行できます。
では課題とは何か。オリンピックは国体よりも規模が大きく、日本国内のヨット競技の種目としては取り扱われないクラスなどの開催を考慮すると、国体時の水面利用よりも広い海域の手配が必要になります。私は平成6年度から始まった葉山港の港湾整備事業の完成まで携わっていたため、港湾整備が必要な海水面区域などは承知しているつもりです。
現在完成している葉山新港を含む葉山港の海面整備率は、本来葉山港の港湾区域に指定されている海面の3分の2程度で、残る整備可能な海面が逗子市浄水センター地先に残されています。この区域については海区漁業権が小坪漁業協同組合に帰属するため、国体時には葉山町が開催責任を負った築港整備計画には盛り込まれませんでした。仮に逗子市がオリンピックのヨット競技開催の要請をすれば、葉山港の再整備事業が現実になる可能性があります。
国民生活の向上に追い風が期待される昨今、五輪開催という明るい話題は全国民が注目する一大行事。もし葉山港が競技会場の一つとなれば、葉山や逗子の地域にも新たな希望や活力が生まれると思うのです。
矢部房男
|
|
|
|
|
|