開院40周年を迎える藤沢市民病院長 城戸 泰洋さん 茅ヶ崎市在住 61歳
地域の医療をけん引
○…1971(昭和46)年10月開設の藤沢市民病院は今年40周年を迎える。40万都市の自治体病院として、地域基幹病院として地域医療推進の先頭に立つ。
○…生まれは茅ヶ崎市。小学校の頃の夢は、大工になること。翠嵐高校時代は、空の仕事にあこがれパイロットも考えた。高校2年、将来のことを本気で考え始めたとき、父親が外科医だったこともあり「医師」の道へ。「父親からは特に何か言われたわけではないのですが、背中を見て育ったからですかね」。小・中学校と剣道を続け、部活動はソフトテニス部。岩手医科大学では、先輩に誘われラグビー部へ。当時は、新日鉄釜石の全盛時代。「弱いチームでしたけど、スクラムハーフ、最前列のフォワード以外は全てのポジションをこなしましたよ。フルバックは楽しかったな」。
○…父親の訃報を機に地元に帰り、横浜市大へ。途中、藤沢市民病院で働く先輩から「胸部外科の後を引き継いでくれないか」と話が巡ってきた。引き受けるも、もともと専門は消化器外科。勉強のため、1年間週1回、国立がんセンターへ通い、勉強し直した。昭和60年代、地域で胸部外科があるのは藤沢市民病院のみ。肺がんをはじめ、肺疾患の治療を続けた。藤沢で育ててもらったという意識は強い。
○…「地域にとってどんな病院がいいのか」。市民と地元医師会らが熱い意見を交わしながらできあがった病院も、建物の建て替えや慢性的な医師・看護師不足、そして常にコストを意識した運営が求められている。「地域で唯一500のベッドをもち、高度医療やがん診療を担っている。地域医療機関とタッグを組み、機能分担を進めていきたい」。柔和な笑顔ながらも、自然と力がこもる。「ここで働いているのは国家資格を通ったプロ集団。この自覚をもってあたっていきたい」。