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藤沢 社会

公開日:2026.05.29

6月4日から10日は「歯と口の健康週間」 歯は生活映す鏡 藤沢市歯科医師会 地域保健部・小林哲也さん

  • インタビューに答える小林常務理事

    インタビューに答える小林常務理事

 健康な体を維持し、毎日の食事を美味しくとるために欠かせないのが、歯と口腔環境のケアだ。6月4日(木)〜10日(水)は「歯と口の健康週間」。藤沢市歯科医師会の地域保健部で常務理事を務める小林哲也さんに、現代人が直面する口の健康課題や予防のポイントを取材した。

 現代人が抱える口腔環境の課題として、小林さんがまず警鐘を鳴らすのが、主に60〜70代以上の高齢層にみられる「オーラルフレイル」(口の機能の衰え)だ。滑舌の悪化やむせ込み、食べこぼしといった些細なサインから始まる。これらを放置すると、誤嚥性肺炎を引き起こしたり、噛む力が衰えて内臓に負担をかけたりと、全身の疾患に直結しかねない。

 最大の特徴は、この状態が健康と病気の「中間」に位置することだ。衰えに早く気付いて適切な対策をとれば、健康な状態に戻すことができるのだという。しかし現在、神奈川県のオーラルフレイル認知度は全国最下位。小林さんは「まずはオーラルフレイルについてより多くの市民に広めていくことが重要」と危機感を募らせる。

人とのつながり口腔環境を改善

 口の衰えを防ぐためには、「足腰を健康に保つためにウォーキングをするのと同様に、口腔環境のための訓練が必要」と小林さん。効果的なのは、よく笑って表情筋を動かすことや、おしゃべり、しっかり噛んで食べることなどだ。「これらは全て、人とのつながりや接点があれば、日常のコミュニケーションの中で自然とできることです」。口の衰えを防ぐ処方箋は、日々の暮らしの中にある。

成長促す家族時間

 高齢層のオーラルフレイルが注目される一方で、近年は子どもや若者世代における「口腔機能発達不全症」も新たな問題となっている。背景にあるのは、現代社会のライフスタイルの変化だ。共働き世帯の増加などにより日々の生活が忙しくなり、家族の食事時間が短縮化。さらにコロナ禍で長期間マスクを着用していた影響から、他人に表情を見せることに抵抗を感じる子どもが増えており、これらが口の機能低下に拍車をかけているという。

 口の正しい発達は、健康な歯並びや健やかな成長に直結する。小林さんは「子どもたちの口腔機能の発達のためには、食事の際によく噛んで顎を動かすことや、日常的にたくさん話すことが重要だ」と話す。自分の気持ちを相手に伝えたり、豊かなコミュニケーションを築いたりする能力は、幼少期からの経験を通じて身に付くもの。「まずは家庭での時間を大切にしてほしい。家族で食卓を囲み、楽しく会話をしながら食事をすることが、子どもの口と心の健やかな発達を促す第一歩になる」と、家庭内でのコミュニケーションの重要性を訴える。

80年の歩み、未来へ

 同会は市民の口腔環境を見守り続け、今年で創立80周年の節目を迎える。コンセプトに「80周年の歩み礎に未来へつながる歯科医療」と掲げ、地域医療のさらなる充実に向けた歩みを進める。

 小林さんは「乳幼児歯科健診や成人歯科健診をはじめ、口腔がん検診、障がい者歯科診療や休日急患診療など、誰もが安心して歯科医療を受けられる体制を整えている。お口の健康を守るためにも、ぜひ健診や診療を積極的に利用してもらえたら」と呼びかけた。

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