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公開日:2026.09.11
「クラフトビールで藤沢に活気を」 市内4醸造所が協議会設立
「クラフトビールといえば、藤沢」――。そう語るのは「藤沢市クラフトビール醸造者協議会」の大浦真琴さん。クラフトビールで藤沢を盛り上げようと、今月1日に設立した同協議会の会長に就任した。市内4つのブルワリーが集まり、今後はメンバー同士の情報交換や技術研さん、販路開拓、共同でのオリジナルビールづくりも視野に入れながら活動を進めていく。
過酷な現実
近年、空前のブームを巻き起こしているクラフトビール市場。街には次々と新たなブルワリーが誕生しているが、華やかなブームの陰で小規模事業者は過酷な現実に直面している。
原材料費の高騰に加え、酒類製造免許の維持に必要な「年間製造数量6千リットル」というノルマが重くのしかかる。製造したビールを売り切るため、週末のたびに大量の機材を抱えてイベントを駆け回る日々。「一人暮らしの引っ越しにも似た肉体労働」と大浦さんは表現する。絶えず製造現場と向き合う繊細な作業は容易ではない。「儲かりそうだから」と安易に参入し、思わぬ赤字に頭を抱える事業者も少なくないのが実情だ。
仲間と壁越え
こうした厳しい業界にあって、自らの手でビール造りに汗を流すのが、「アマテラス」(江の島)、「ラープブリュワリー」(湘南台)、「藤沢ビールハウス」(本町)、そして大浦さんが運営する「オーラブルーイング」(藤沢)。垣根を越えて手を取り合った訳は、地元のイベント出店時に立ちはだかった高いハードルだった。「個別の事業者では、行政や自治体が主導する枠組みに入りづらい。個の力では届かない壁も、地域が誇る集団となれば突破できるのでは」。人材サービス会社にも勤務する大浦さんのほか、自動車整備士からブルワーに転身するなど異色の経歴を持つ仲間が結集した。
地域に根ざす
目指すのはイベント出店の協力に加え、モルトやホップといった原材料の共同購入によるコスト削減、また醸造過程で出る麦芽かすを地元農家に提供したり、粉末化してパンやピザ生地へ再利用したりする循環型社会の推進だ。さらに災害で停電などが起きた際、機材や資材を互いに融通し合い、地域に還元する協力体制も構築する。
「クラフトビール業界では奪い合うのではなく、仲間と共に市場を育て、クラフトビール好きの人口を増やしていくという温かなカルチャーがある」と大浦さん。個々のブルワリーが独自のコンセプトを研ぎ澄まし、互いをリスペクトしながら高め合う共生の道こそが、人の心を打つとメンバーは確信している。
「一時のブームで終わらせるつもりはない。もっとたくさんの人に、クラフトビールという資源を利用してほしい」とも。100%藤沢産の原材料を使用したビール造りも進行中で、市民や観光客の心を踊らせる構想が芽生えている。
湘南の歴史と風土にクラフトビールという新たな文化を深く根付かせるため、醸造家同志で挑戦の第一歩を踏み出した。目線の先には、街全体を巻き込んだ未来図が広がっている。
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