鎌倉 人物風土記
公開日:2026.06.12
今年の鎌倉納涼うちわをデザインした日本画家 磯部 光太郎さん 鎌倉市在住 56歳
愛する自然を描く
○…「鎌倉は憧れのまち」。学生時代に何度も遊びに訪れた。「夜にはフクロウが鳴く。海があり、富士山が大きく見える」。結婚を機に鎌倉に移住して以来、愛する自然に囲まれた生活を堪能している。日本画家として、主に草花や昆虫、蛙などを描き、自然の中に息づく小さな世界を日本画で表現している。
○…東京都練馬区出身。友禅染めの着物屋に生まれ、幼少の頃から、わら半紙に自由に絵を描いていた。釣りや虫取りに熱中し、自然に触れるのが大好きだった。「まさか虫を描く画家になるとは」と苦笑い。高校の美術教諭の影響を受け、「美大に行こう」と決意。2年の浪人を経て東京藝術大学に進学、卒業後そのまま画家として活動を始めた。歳を重ねても自然を愛する気持ちは変わらず、自宅の庭には季節の草花が咲き誇り、休日にはキャンプやビーチコーミングに出かける。大人になってから魅力を知ったのはドライブ。30代で友人から譲り受けた車は自身と同い年、1970年製造のレトロな愛車と一緒にまちを巡る。
○…日本画の特徴は画材にある。岩絵具という天然の鉱石や人工石を砕き、粒子状にした伝統的な絵の具を使用する。粒子の粗さによって15段階ほどに分かれ、膠(にかわ)と呼ばれる天然の接着剤と水と混ぜる。「作家によってピタッと合う色がある。原始的でおもしろい」。水彩絵の具と違い、一定の色を作るのが困難なため、「オートマ車とマニュアル車」と表現する。
○…長く絵と向き合うなか、最近になり「昔の人の絵と会話できるような感覚」がある。筆の使い方、絵の具の色加減、込められた思い、さまざまなものが絵から感じられるという。「これも絵の奥深さ」と笑顔だ。
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