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中原区 人物風土記

公開日:2014.01.31

立体作品などの芸術家として高い評価を受ける
宇田川誉仁(やすひと)さん
高津区在住 47歳

紙粘土に「命」を吹き込む

 ○…背中にボンベを備えたカエルが、大きな両目を見開いている。近付いて見ると、目玉はボタンとベアリングの球、腹には豆乳のキャップ。紙粘土で成形し、身近な素材を自由に組み合わせて生み出した立体作品だ。「一生掛かっても創り切れないほど、創りたいものが頭にある」。溢れ出す創作意欲で創り上げた力作約10点を、2月9日、幕張メッセで開催される立体作品の国内最大級の展示会「ワンダーフェスティバル」に出展する。

 ○…今にも動き出しそうな動物や昆虫の体に、光沢のある金属が融合する。無限の想像力から生まれた独創的な生き物たちが、不思議な生命力と存在感を放ち、見るものの目をくぎ付けにする。ユニークで緻密な作品の数々が高く評価され、2002年から11年には2度にわたり、中学校の技術科の教科書の表紙を飾った。「当時の教科書を使っていた」という若者たちと出会い「『教科書の作品に触発され、ものづくりの道に進んだ』と聞くと、とても嬉しくなります」と柔和な笑顔で語る。

 ○…高津区で生まれ育ち、幼少期は畑や森で多様な動植物と出合った。工作が好きで、小学生のときには、当時流行したゲイラカイト(凧)を自ら手作り。「市販のゲイラと同じくらい良く飛んだ。これは本当に嬉しかった」。大学では建築を学び、就職後は各地の公園設計などに尽力した。

 ○…29歳で芸術家として独立後、次々に作品を発表。ナイキジャパン本社の入口ホールのオブジェ制作も担当し、注目を集めた。語学が堪能な妻の協力で、今では国内だけでなく海外からも多くの注文を受けている。旅も好きで「時間に余裕があれば旅行に出たい」と話す。今年3月には韓国で、自身初の海外でのワークショップを開く。「この仕事をしていると沢山の面白い人に出会える。今後も作品を創り続けたい」。情熱を胸にこれからも「新たな生命」を生み出し続けていく。

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