緑区内の隠れた遺産を発掘しようと区が認定制度をはじめた「緑区遺産」。このほど「鴨居杉山神社の大絵馬」と「ごはん塚」が鴨居地区で初の認定となった。
緑区遺産は、地域の魅力を発信しようと緑区が昨年から始めた認定制度。これまでに、昭和レトロな雰囲気を残す商店街「緑新栄会界隈」や、農民の自然崇拝の姿を今に残す「久保谷戸 お滝様」など4カ所が認定されている。
今回新たに認定された「ごはん塚」は、平安から鎌倉時代にこの地域で台頭した武将・畠山重忠公にゆかりのある史跡。1205年、北条義時の策略にあい、鶴ヶ峰の合戦で敗れた同氏の家来が逃げ延び、この地で全滅した。村人たちが亡骸をこの塚に葬ったとされる。ごはん塚の名前は、北条氏の攻撃を受けた時、家臣たちが食事中だったという説や、塚の形状が茶碗に盛ったご飯のかたちに似ていることに由来するなど諸説ある。区内にはかつて、このような塚が5つあったとされるが、造成などにより現存するのは同所のみ。
「鴨居杉山神社の大絵馬」はともに1851年頃、村人(鴨居村・恵比寿講中十三人)によって生馬の代わりに奉納されたもの。「国姓爺合戦」和藤内の虎退治の段、「鬼一法眼六韜三略」の段はそれぞれ歌舞伎の一場面を描いており、絵師は歌川派の門下と伝えられている。同神社奉賛会により管理されてきた。
区長、遺産登録に意欲
名取正彦区長は4月23日、地域に出向き住民との対話を行う「みどりひと∞ナビ」の一環で鴨居地域を訪れ、今回登録となった2つの史跡を推薦した「鴨居原市民の森愛護会」の阿部昭雄会長と「鴨居駅周辺まちづくり研究会」の熊本秀男会長に認定書を手渡した。
ごはん塚を訪れた名取区長は「侍たちの亡骸を手厚く葬った村人たちの優しさを今に伝える貴重な史跡」と評し、大絵馬を見学した際には「当時90世帯ほどだった鴨居村の村民がこれだけの絵馬を奉納できたのは、それだけ豊かで力を持っていたということ。とても誇らしく思った」と感想を述べた。
その後行われた懇談会で、鴨居杉山神社奉賛会の黒滝副会長が、絵馬の老朽化問題や維持・管理の苦労話などを語ると、名取区長は「緑区にこれだけ多くの史跡が残っているのは、大切に管理してくださった住民の皆さんの力あってこそ」と労った。阿部会長は「地域の宝とも言える史跡が認定となり喜んでいる。地域をあげて大切にしていければ」と話した。また、熊本会長は「認定を受け、とても嬉しい。絵馬は祭事の時のみの公開となるが、ぜひ多くの方に知っていただければと思う」と話した。
名取区長は、地域住民や団体による推薦によって認定される緑区遺産について言及し、「区内にはまだまだ多くの遺産が存在するはず。地域の皆さんにとっては当たり前のものでも、その価値は相当なものがあると感じている。どんどん推薦してほしい」と遺産登録に意欲を示した。
緑区遺産に関する詳細は緑区役所区政推進課広報相談係(【電話】045・930・2219)へ。※「ごはん塚」の見学は周辺に迷惑がかからないようマナーを守ること(車での来場は不可)
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