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今も残る足跡 1964東京五輪 相模湖でカヌー競技

スポーツ

公開:2021年7月15日

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競技を一目見ようと集まってきた人たち出典 写真・神奈川県/神奈川新聞社(2枚とも)
競技を一目見ようと集まってきた人たち出典 写真・神奈川県/神奈川新聞社(2枚とも)

 57年前の東京オリンピック、相模原市内では唯一相模湖でカヌー競技が行われた。県が発行した「第18回オリンピック東京大会/神奈川県」によると、当時の詳細が事細かに書かれている。

 10月10日から15日間開催された大会内で、カヌー競技は20日から3日間行われた。22カ国、215選手が参加し、熱戦を繰り広げた。競技は男女に分かれ、男子は1000m、女子は500mで、カヤック(パドルの両方に水かきあり)やカナディアン・カヌー(パドルの片方にだけ水かきあり)で競った。体格や競技経験に差があるソ連が圧倒的に強く、男女合わせ7種目中3種目で優勝。日本選手は3種目に出場し、いずれも決勝進出には及ばなかったが、1人カナディアンに出場した選手が決勝進出順位3位に後50cmに迫る接戦を見せた。最終日の決勝レースには常陸宮ご夫妻が訪れ、双眼鏡で観戦されたエピソードも残っている。

今は無き本部庁舎

 相模湖の畔には、「本部庁舎(審判塔)」と、カヌーなどを保管する「艇庫」があった。本部庁舎は鉄骨4階建て、審判塔には判定写真用の現像室も完備。艇庫には選手の控え室やシャワー室などもあり、当時としては国際級の施設だった。

 また、湖周辺には参加選手や役員の宿舎として、選手村も設けられた。当初、選手村は代々木(東京都)に設置される予定だったが、遠方のため競技に支障が生じるとし、1964年4月に「相模湖選手村」の設置が決定。男子宿舎は「相模湖ホテル」(京王観光)の一部を撤去しその敷地内に建設された。女子宿舎は、相模湖ユースホステルをそのまま活用。合計21カ国、214人が在村した。

 現在は、本部庁舎と艇庫は取り壊され、男子宿舎のあった場所には相模湖総合事務所が、女子宿舎があった場所は相模湖交流センター前の駐車場になっている。

今回はキャンプ地として

 7月23日(金)から始まる東京五輪・カヌー競技の会場は江戸川区(東京都)などだが、同湖ではカナダ代表ボートチームが事前キャンプ地として使用。ほかにも市民レガッタ(ボート大会)の開催、県内有数の強豪校・津久井高校ボート部の練習場となるなど、オリンピック遺産として今も愛好者や競技者に重宝されている。

「外国人選手の大きさに圧倒」当時を知る勝瀬観光の小野澤さん

 64年当時から相模湖の近くに住んでおり、カヌー競技を観戦しにたびたび相模湖を訪れたという勝瀬観光(緑区与瀬)の代表取締役・小野澤陸雄さん(78)。「自分は21歳の大学生。湖畔を歩く外国人選手たちの体の大きさに圧倒された。女子選手も大きく、日本人のとは比べ物にならなかった」と興奮を思い出す。

 小野澤さんは、カヌー競技の観戦チケットを300円程で購入(当時の大人映画観覧料が221円)。ところが、当時からアルバイトしていた勝瀬観光が相模湖に面しており、チケットを使わなくても同社近くのフェンスの隙間から競技を見ることができた。男子のK4(4人乗りカヤック)などを眼前で見た記憶が脳裏に焼き付いている。そのため、チケットは今でも綺麗な状態のまま。ファイルに大事にしまったチケットを手に、「取っておくつもりはなかったけど、今となってはいい思い出」と話す。

 相模湖でのオリンピック開催は、町の暮らしにも大きな変化をもたらした。小野澤さんは「湖周辺の道路がきれいに舗装されたり、単線だった相模湖駅が複線化したり、インフラはかなり整備された」と振り返る。

 日ごろから、カナダ代表歓迎をあらわす「CANADA」のロゴ入りキャップをかぶる小野澤さん。57年ぶりの五輪開催に、いくつかの民間企業が実施した聖火ランナー募集に応募。惜しくも選ばれず残念がるが、「コロナで大変だけど、日本に来た選手たちがどんな活躍を見せてくれるのか楽しみ」と笑顔で話した。

写真左の建物が本部庁舎(審判塔)、右の建物は艇庫。現在は本部庁舎も艇庫も取り壊されている
写真左の建物が本部庁舎(審判塔)、右の建物は艇庫。現在は本部庁舎も艇庫も取り壊されている
57年前のカヌー競技のチケットを手にする小野澤さん
57年前のカヌー競技のチケットを手にする小野澤さん

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