伊勢原市高森台と厚木市愛甲にまたがる『愛甲原住宅』は1966年の分譲開始から52年が経過した。1979年まで運営された市域を越えた自治会運営や、NPO法人による福祉のまちづくりなど、高齢化率が30%を超えた今、両市が一体となって歩んだこれまでとこれからを取材した。
愛甲原住宅は国家公務員共済組合連合会が1966年、伊勢原市の高森台に600戸、厚木市愛甲に300戸を分譲開発した住宅地。全国から幅広い年齢層の888人が集まり、新しい街がスタートした。
12年続いた愛甲原自治会
68年には住民集会が行われ、両市にまたがる形で愛甲原自治会が発足。子ども会や婦人会なども一体となって活動し、商店の誘致をはじめ、広報紙の発行、地区で体育祭や文化祭を実施するなどして親睦を深めて、79年まで両市で運営された。
住み慣れたまちで暮らすために
分譲から20年ほどが過ぎ、愛甲原住宅では88年の「伊勢原ホームサービス」設立を皮切りに福祉のまちづくりが始まった。98年には高齢化率が29%となり、地域住民によるミニサロンやNPO法人によるデイサービス、小規模多機能型居宅介護施設の開所などが次々と始まるなか、2012年には街の中心部となる愛甲原ショッピングセンター内にコミュニティスペース「CoCoてらす」が開設された。
CoCoてらすでは、東海大学や湘北短期大学、東京工芸大学の学生とも連携。高齢化が急速に進むなかで、市域を越えて住民同士が支え合う街づくりをめざして、両市の男性退職者を講師とする講座をはじめ、地域参加へのきっかけづくりを行っている。
伝統を繋ぐ
自治会が両市に分かれた現在でも子ども会の神輿は同日に行われ、最後には同じ公園で合流する。また17年には新住民のための「赤ちゃん相談室」や「くらしの保健室」をてらすで開設。参加する看護師らは地域住民のボランティアだ。運営するNPO法人一期一会の川上道子理事長は「愛甲原は街全体で住民を応援する土壌がある。その伝統を続け、繋げていくことが大切。そのために活動していきたい」と話す。
今後も両市が一体となった福祉のまちづくりに注目していきたい。
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