タウンニュース横須賀編集室では、2021年の年頭を飾る恒例の市長インタビューを行った。この中で上地克明市長は、新型コロナに翻弄された昨年を振り返り、「自治体としての対応と権限の狭間で思い悩むことが多かった」と総括。その一方で、浦賀ドックを含む敷地の一部が無償譲渡されたことを受け、低迷が続いていた浦賀地区の再生に乗り出す考えなどを語った。(聞き手は本紙編集長、安池裕之)
──まずは昨年を振り返っていただきます。
「コロナの感染拡大を抑えるために、何が必要なのか、何ができるかに思いを巡らせる一年でした。未曽有の困難から市民と事業者を守らなければなりません。それを実現するには、財源と権限が必要で、自治体の限界にぶち当たる場面が多々ありました。”地域主権主義”を掲げてきましたが、忸怩たる思いでいっぱいです。そうした中でも可能な限りの対策を打ってきました。コロナの一日も早い収束を願うばかりです」
「横須賀復活計画」やり遂げる
今年6月に市長任期満了
──上地市長の重点施策である「音楽・スポーツ・エンターテインメント都市構想」の実現に向けた種々の取り組みは、大きな制限を受けました。2月の時点で行った市主催イベントの中止・延期の発表(当初は6月、現在は年度内)は、決断の速さに驚かされました。
「政治は決断力であり、危機管理は最悪の事態を想定しています。昨年は浦賀奉行所300周年の大型イベントなどを控えていましたので残念でなりません。これについては新年度に仕切り直して実施する考えです。あらためて機運の醸成を図りたいと思います」
──その浦賀では昨年末、国内最古級のレンガドックを含む敷地の一部が、所有者である住友重機械工業から市に無償で寄付されるという大きな発表がありました。地元の声を取材しましたが、驚きとともに活用に向けた期待を感じました。
「浦賀再生に向けてようやく蓋が空いた、と感慨深いものがあります。『海洋都市』の実現に向けた重要拠点となるでしょう。横須賀全体の活性化に資するもので、早期に方向性を決定したいと思っています。もう一つのコンテンツである奉行所の活用についても合わせて考えたい。浦賀が大きく動き出す1年になりそうです」
──このほかに重点的に取り組むことがあれば聞かせてください。
「デジタルガバメント(行政のIT・デジタル化)の推進には力点を置いています。福祉の窓口相談などにAI技術を用いて、職員の事務作業の省力化を図ります。市民と向き合い寄り添う時間を確保して、サービスをより向上させることが一番の狙い。直面しつつある職員数減少という課題にも対応します」
──市政が抱える不安要素として、新港ふ頭のフェリー問題(横須賀港─北九州間を結ぶフェリー航路開設)が浮上しています。既存の港運事業者と近隣住民から反発の声が上がっている中で、市は今年7月の開設に向けて準備を進めています。
「当該事業者とは、打ち合わせを重ねて計画を進めてきました。港を通じた地域振興や経済の活性化に欠くことのできない重要な事業であり、このような事態となってしまったことは非常に残念です。市としては、予定通り計画を粛々と進めていきます」
──市長に就任して3年半。今年は選挙の年です。これについて思うところを聞かせてください。
「誰もがそれぞれの幸せを感じることのできる社会の実現が、私の政治信条です。これを達成できたか、今も自問自答する日々です。横須賀の復活計画として掲げた『音楽・スポーツ・エンターテインメント都市』『海洋都市』『谷戸再生』の3構想の実現に向けた取り組みは、緒に就いたばかり。試行錯誤をしている段階で、責任を持ってやり遂げなくてはなりません。その情熱は今も変わりません」
横須賀版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>