でこぼこ道の子育て記 29.「他害行為」の事実に直面一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
やっと決まった入所施設での度重なるトラブルで、精神科の受診をすすめられた義父。受診日、施設まで迎えに行きそのまま病院へ。今後の話もあるだろうと、夫も休みをとって一緒に来てくれました。
病院のソーシャルワーカーさんと共に診察の順番を待っていたのですが、いつもとは全く違う環境に落ち着かない様子。じっとしていられず院内をウロウロと徘徊し始め、私は軽く腕を取って椅子に座るように誘導した、その時です。戸惑いながらも大人しくしていた義父の表情が一変し、突然私に殴りかかってきたのです。不安で落ち着かず座るのが嫌だったのかもしれません。とはいえ、これは予測していない事態。正直びっくりしました。もっと驚いていたのは隣にいた夫。「親父！何やってんだ！」と声を荒げ、義父を必死に押さえ止めようとしました。幸い怪我もなく、大事には至りませんでしたが…夫はこれにひどくショックを受けたようでした。
病気の進行につれ、酷くなっていた他害行為。今まで私や施設の方が話しても「親父がそんなこと…」と否定し続けていた事が、目の前で起きたのですから無理もありません。夫が現状を受け入れてくれるきっかけとなったことは、（状況は難しいものの）良かったと思っています。
その後は、無事に受診することができ、義父はそのまま入院。しかし残念ながら、入所した施設にも自宅にも、亡くなるまで帰ることはありませんでした。-次回に続く
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