三浦の観光振興による産業間連携と地域活性化をテーマにしたシンポジウムが先月26日、市民ホールで開催された。産学連携で地域振興に取り組んでいる、かながわ信用金庫と横浜市立大学による主催で実施。約2年半にわたり学生らが取り組んできた三浦の観光事業の実態と今後への提言の他、平松廣司かながわ信用金庫理事長、杉山実三浦副市長他によるディスカッションが行われた。
産・学連携で研究
学生は約2年半、三浦の観光事情を調査、研究した。三崎口駅や城ケ島公園で実施したアンケートから、来訪者の半数以上が立ち寄りカ所は1カ所だったことを挙げ、8割以上の観光客は日帰り客ということを示した。日帰り観光客の平均予算は、1カ所で5347円、2カ所で6341円。1カ所増えるだけで千円増えるとした。食や豊かな自然など三浦市に良いイメージを持つ一方、観光を楽しむコンテンツの少なさ等から1カ所に留まる傾向にあるとした。これらの結果が観光客の支出予算の低さに繋がっていると結論付けた。
現状分析から三浦は、首都圏に近いことや三崎まぐろブランド、多品種な水産物の提供などが強みである一方、全体的な観光、産業における将来のビジョンの希薄、農・水産物の販売方法のバリエーションの少なさ、観光地同士の連携不足などが弱みとして揚げられた。
5つの観光地を設定
現状分析を踏まえ、学生はコンセプトに「都会から1時間、大自然と美食が気軽に楽しめる海の町、三浦」を設定。「うらり」、「三崎下町商店街」、「城ケ島」、「三浦海岸」、「油壷」の5つの地域を新たな「観光地」に設定した取り組みを提言した。
「うらり」は2階を農産物販売所の整備と観光案内機能の強化、「三崎下町商店街」は農産物販売所の整備、観光案内機能の強化、食やゆったりとした時間を楽しめる場所としての整備、「城ケ島」はキャンプ、BBQ、漁業体験、野外レストラン設置、「三浦海岸」は桜のライトアップ、アジサイの整備、「油壷」は社会科見学の強化、ネイチャーウォーキングの整備等を提言した。
観光振興のために基幹産業である農業・漁業・観光業の連携が大事とし、市全体が一体となり観光コンテンツを整備することで大切と訴えた。これらを進めることで得られる経済効果の数字を算出。市内総生産は約90億円(7・1%)の増加、雇用面では3799人の新規雇用を見込む。家計と企業の収入は家計が6・3%、企業が9・9%の増となり、税収は約43億円(6・5%)の増加を挙げた。
「信頼のあるまちをつくる」ディスカッション
平松理事長、杉山副市長らを交えディスカッションが行われた。
平松理事長は地域経済活性化をテーマに取り組んだ理由を「地域密着型の金融機関としての役割」と述べ、「設立時からシェアとして歩んできた三浦市が、経済状況の変化で衰退しつつある。実態を把握し将来に繋げていく必要性を感じた」と強調した。また、今後は産・学・官で取り組んでいくことの必要性を説いた。藤野名誉教授も「地方の課題を把握するため、大学と地域密着型の信用金庫が取り組んでいくことは大きな意味がある」と語った。
杉山副市長は、「金融機関、学校、企業が三浦で活動し、将来に向けて連携できると思えるような、信頼のあるまちをつくることが大切と考えている」と行政の役割を語った。第4の観光の核づくり事業に力を入れている今、「地元あっての観光づくり。基幹産業である農業・漁業など異なる産業と連携し、6次経済を掛け算で増やしていくことが重要。若い力にも期待したい。20・30年後になってここに生まれて良かった、住んで良かったと思えるまちにしていく」と述べた。
会議所青年部の高橋会長は、地域活性化策のひとつとして、城ケ島のロケーションを活かすために、提灯を飾ることを提案。イベントや企画の実施に向けては「共通の目的を持ち、目的に沿ったアイデアを出し合い多くの人を巻き込むことが必要」と話した。
鉄道やバスは人の流れを呼び込むための手段として大切なもの。京浜急行電鉄の田中専務は、「東京や横浜から自然豊かな三浦半島に人の流れを作ることが私たちの役割であり、このことが観光の手伝いだと思っている」と役割を語った。
三浦版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|