藤沢 ピックアップ(PR)
公開日:2026.01.01
旧藤沢宿の灯絶やさぬために
ヨンドングループ・吉田亘良代表
大型商業施設が競い合うように空を突く駅前。華やかさの影で、古き良きまちの個性は音もなく霧散していく。どこにでもある景色への均質化。それは経済の変遷ではなく、地域に根差した交流の場が失われることを意味している。緩やかな衰退に、真っ向から抗う人がいる。藤沢市内を中心に焼肉店など5店舗を展開する「ヨンドングループ」の代表を務める吉田亘良さん(52)だ。挑むのは、単なる新店オープンだけではない。まちの記憶を呼び覚ます「再生」への物語だった。
絶望乗り越え
横浜で飲食店を営む父の勧めで、19歳という若さで遊行寺近くにある焼肉店「ヨンドン」の運営を任された。だが当時の藤沢は、縁もゆかりもない土地。「始めは嫌々だった。店には閑古鳥が鳴き、毎月赤字が続いていた」。周囲に知り合いも少なく、じり貧の経営が続く日々。若き日の吉田さんは絶望の淵で、チラシをポスティングするなど営業に汗を流した。
その一歩一歩が、現在の「執念」の礎となった。狂牛病の猛威や未曾有のコロナ禍。襲いくる時代の荒波を乗り越え、気づけば33年の月日が流れていた。いつしか藤沢は、吉田さんにとって「世界一の魅力ある都市」に変わっていた。
昭和の遺構に新風
旧東海道藤沢宿の一角に昨春、一軒の飲食店が産声を上げた。「甘味とごはんや 八一」。昭和初期に建てられた旧米問屋の木造建築を活用した店は、吉田さんの思いの結実だ。「このまちに何が必要なのか」と自問自答の末に辿り着いた答えが、日本古来の知恵「発酵」だった。「稲作は日本の武器。味噌や醤油、麹は米からできている」
吉田さんは古き建物の引き戸を開け、神棚や味のある看板を残しつつ、藍色の漆喰や神代杉の一枚板をしつらえた。かつて旅人が往来した宿場町の玄関口として、人々が気軽に立ち寄れる場には、忘れ去られようとしていた土地の記憶が確かに息づいている。
点と線で紡ぐ個性
新店の主力は、肉を主菜に4品の小鉢を添えた「一盆八膳」のランチだ。焼肉店を長年営んできたノウハウを惜しみなく注ぎ、吉田さん自身も厨房に立つ。
「シンプルに美味しいものを提供したい」。地元産の食材への絶対的な自信と、料理人としての矜持が言葉に宿る。特筆すべきは、営業スタイルだ。あえて夜間や週末を避け、平日の日中を主軸に据える。子育てをしながら働く女性スタッフが、その能力を最大限に発揮できる環境を整えるためだ。「飲食店の価値を高めたい」という信条は、現場で働く者の幸福と分かちがたく結びついている。
自らが先陣を切り、文化の灯を残し続けることで、志ある若手やすでに活躍している人が後に続くことを思い描く。「口火を切ってあげたかった」。バラバラだった「点」が「線」となり、やがてまち全体の活気という「面」へと広がっていくイメージ。「藤沢の人々の支えがあって、ここまで続けてこられた。お世話になった人を裏切れない」という一念が吉田さんを突き動かす。
かつて孤独だった青年は今、宿場町の伝統を背負いながら、食を通じてまちの未来を照らす。その目が見つめる先には、世界に誇れる藤沢の豊かな食文化が鮮やかに広がっていた。
ヨンドングループ
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神奈川県藤沢市西富530-1サンプラザ湘南2F
TEL:0466-50-1129
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