小学校放課後学習ルーム 指導員不足で支援に苦慮 増えるニーズに対応追いつかず
市教育委員会では、授業に遅れを感じる児童の基礎学力定着などを目的として、昨年4月に「小学校放課後学習ルーム」を設置。開始から1年を迎え、教育現場からは「意欲向上が見える」と好意的な反響があがっている。一方で、限られた時間での指導には限界も見え、元教員で構成される指導役「サポートティーチャー」の人材不足が課題となっている。
今年度より初の試みとして実施されている「小学校放課後学習ルーム」は、現在、市内の小学校47校のうち31校が取り入れている。放課後の時間を活用し、算数・国語などの単元からリコーダーの実技練習まで幅広い補修科目で対応。希望制で参加を募った児童の苦手克服をめざして実施している。市教育委員会も「児童は、目をかけてもらえることや褒められることに喜びを感じ、積極的な学習姿勢で取り組んでいるようだ」と一定の手ごたえを感じている。しかし、このような成果が出ている反面、課題も表面化してきている。
指導は、定年などで退職した教員を中心とした教員免許保有者が非常勤講師「サポートティーチャー」が担当し、現在27名が派遣されている。豊富な現場経験の視点から児童のつまずく部分を先回りしてフォローし、学力向上に一役かっているが、学校のニーズに対して人手不足が浮き彫りとなっている。
まず、1人あたりにかけられる時間が少ないという点。各校でバラつきはあるものの、サポートティーチャー1人に対し20〜30名を超える児童が参加。授業形態によっては、児童のペースにあった個別のケアに限界がきている。また、時間割と下校時刻との兼ね合いで、1時間〜1時間半程度しか実施できず、本来の目標としている細やかで手厚い支援が必ずしも行き届かないケースも発生している。これを受け、市では昨年10月より実施回数を週2回に追加、複数の学校を掛け持ちで指導させるなど対応している。
また、市担当者によると「呼びかけは行っているが、再就職や体力面の不安などを理由に応じてもらえないことが多い。任意の依頼なので、増員までに時間を要していることが課題となっている」と話す。
学校からも期待の声
同学習ルームを設置している市立高坂小学校の西田邦彦校長は「保護者からも回数を増やして欲しいとの要望があがっている。学校としても来年度以降の継続と更なる学習環境の向上を希望したい」と話している。
なお、市教育委員会教育指導課は、1年目で見えてきた課題や各校の実施状況・意見を踏まえながら、来年度も継続予定としている。
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