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外に向かって開かれた学園 地域に信頼され、地域と歩む 後藤修司理事長に訊く
「心ある、そして考える医療人の育成」この教育理念を実践していく。
緑に囲まれた横須賀市佐野町の高台に昨年、学校法人後藤学園が運営する「神奈川衛生学園専門学校」が開設された。旧市立陽光小学校の校舎を大幅改修し、充実の学習環境を備えて地域医療人の育成に取り組んでいる。現在は「東洋医療総合学科」の新入生80人が学んでおり、今年４月には新たに「看護学科」が開設される予定。３年次までの学生がすべて揃う２０１６年度には、およそ３３０人がここに通うこととなり、地域活性化にも期待が高まる。そこで、学校の特徴とめざす方向性、この地で果たそうとしている役割などを後藤修司理事長に聞いた。
医療・介護に特化した専門教育
──学校の生い立ちを聞かせてください。
後藤 学校法人後藤学園は「東京衛生学園専門学校」と「神奈川衛生学園専門学校」の２校を設置・運営しています。創立は昭和28年、准看護婦とマッサージ師、理容師を養成する学校としてスタートし、時代の要請を踏まえてリハビリテーション学科、看護学科などを開設してきました。昨年、学園創立60周年を迎えましたが、一貫して医療・介護に特化した専門教育を実践しています。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格取得者は両校で約８５００人、看護師は約５０００人の卒業生を医療の現場に送り出しています。本校は教育理念に「心ある、そして考える医療人の育成」を掲げています。医療の世界では相手となるのはすべて「ひと」。患者に思いやりを持って、寄り添うことができる人材がひとりでも多くここから巣立っていって欲しいと願っています。
──昨年４月から本格始動した横須賀校舎の施設の充実ぶりは、目を見張るものがあります。
後藤 学生がゆとりを持って学生生活を過ごせるキャンパスづくりを進めてきました。敷地の広さはもちろん、講義室や実技室の設備は県内でもトップクラス、これ以上ない学びの環境を用意できたと自負しています。
今年４月「看護学科」を開設
──高齢化を背景に医療や介護の現場で活躍する人材が社会から求められています。三浦半島ではそうしたニーズが特に顕著です。
後藤 急速に進む超高齢社会は学生の職業意識にも大きな影響を与えており、医療・介護職を志す人が増えています。横須賀校舎で先行して開設した「東洋医療総合学科」では、３年間で６つの資格（あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者、救急法救急員）取得が可能です。健康医療分野の知識を横断して身に付けることができるので、幅広い分野で活躍できます。今年4月に開設予定の看護学科では、高校新卒者だけでなく、社会人経験者や主婦が看護師をめざすケースも積極的に受け入れるとともに、資格を持ちながら看護職に就いていない「潜在看護師」の復職支援も手掛けていく考えです。看護師は、医療だけでなく介護の領域でも必要とされる度合いが増しています。これからの地域医療では中心的な役割を担っていくことになるでしょう。
──国際的感覚を持った医療人の育成も視野に入れていると聞きました。
後藤 横須賀に校舎を構えた理由のひとつに、米国の先端医療を直に学べる環境づくりを進めたいという思いがあります。理学療法やリハビリ技術は米国からやってきたもので、日本への導入期には基地内で実習が行われていました。対して、米国の陸海空軍では現在、鍼灸治療がブーム的な広がりを見せており、痛みの緩和やＰＴＳＤ治療のひとつとして活用されています。日米双方の技術交換などを含めて、基地内の病院との連携モデルを確立できれば、学生の国際感覚を磨くことにもつながっていきます。
──地域の中で学校が果たす役割をどのように捉えていますか？
後藤 はりきゅうマッサージの臨床施設を校内に設け、一般開放しています。ここでは教員が施術を行いますが、学生の貴重な実習体験の場としても活用させていただきます。このほかにツボ療法やお灸教室などの市民講座に、部活動の顧問の先生や生徒を対象にしたテーピング技術の出張指導なども要望があれば協力したいと考えています。図書室も医学関連の本を中心に約１万２千冊を揃えています。音楽演奏会を開ける大講堂や教室も一般開放していく方針、常に外に向かって開かれている学園でありたいと思っています。
オープンキャンパス情報
東洋医療総合学科では、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、アスレティックトレーナーをめざす人を対象にした体験入学を１月12日㈰に実施する。プロの鍼灸師の施術技術を見ることができる模擬授業のほか、会社員からの転職で鍼灸マッサージ師資格を取得し、訪問マッサージの分野で活躍している卒業生に、生の声を聞く場も用意される。午後１時からで予約制。
4月開設予定の看護学科も随時、学校見学と個別相談を平日の午前10時から午後4時の間で受付。学習内容や病院での実習、学費に関する質問に応えている。こちらも事前の申し込みが必要。問合せは☎０４６・８５０・６３１０
はりきゅう・マッサージ
臨床施設を一般開放
横須賀校の校舎内に昨秋、「附属臨床施設」が開設された。学生の実習の場としてだけでなく、一般も利用できる。東洋古来の伝統医学である「はりきゅう」の普及をめざしたもので、一般の治療には専門知識を有する同校の教員が当たっている。
施術日は火曜・水曜・木曜で時間は午前9時半から12時と午後1時から6時。料金は５０００円（初診料２０００円）で予約制。問合せは☎０４６・８５０・６３１５※新年は７日から
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