10月末から始まるKAWASAKIしんゆり映画祭の実行委員長を務める
岡村浩志さん
百合丘在住　60歳

映画通じてまちづくり

　○…今秋28回目を迎える、ＫＡＷＡＳＡＫＩしんゆり映画祭。市民スタッフの経験を糧に、４月に実行委員長に就任した。スマホでも手軽に映画が見られる時代、「暗い中、何人もの人が一つの大画面に集中する劇場で見ることを楽しんでほしい」と願う。上映するのは「生きる力」に焦点を当てた13本。「気分が晴れないときでも、いっとき見た映画から、何か得られることがあれば」と笑顔を見せる。

　○…50歳を超え｢今後は地域に貢献したい｣と考えていた矢先、映画祭の市民スタッフ募集に目が留まった。２０１８年から参加し、日中は勤めながら、作品選定からゲスト企画、当日の運営まで手掛ける。「ゼロから、市民の手でつくりあげていくこと」が映画祭の面白さ。昨年は、観客が観劇後も街で楽しめるよう、区内飲食店と協力し、新百合ヶ丘駅周辺の飲食店を記載したマップの作成にも携わった。｢映画を手段に、もっとまちづくりに貢献できることがある｣と今後も見据える。

　○…中学生の頃に地元・静岡で見た、きらびやかなハリウッド映画への憧れから、映画にのめりこんだ。大学では映画研究部に所属。８ミリ映画を撮影し、仲間内で酒を片手に語り合った。「常にそばにあった」という映画。今でも月に２本ほどのペースで劇場に通っている。

　○…市北部では秋の風物詩となっているものの「ＫＡＷＡＳＡＫＩと付いている以上、市全体のイベントとしてもっと認知させたい」。コロナ下も途切れることなく続いてきた映画祭。準備を進める中、続けていく責任感が芽生えた。「これまで中断するピンチもあったが、つないできたバトンを私で止めてはいけない」。柔和なまなざしだが、内なる思いは熱い。