色彩画家で、初の個展「森の中の約束」を開催する
大頭（おおがしら）美穂子さん
百合丘在住　51歳

心を解放する絵を

　○…初めての個展を町田市のギャラリーで開催。展示のメインは、ピアノ曲から着想した６枚の油絵だ。つらさを乗り越え、明るくなっていくイメージを、鮮やかな色調で描いた。「心など見えない部分を動かす力がある」という絵での表現。「私の絵を見た人には、なるべく心地よいものを受け取ってほしいし、波動を伝えていきたい」とほほ笑む。

　○…群馬県前橋市出身。高校２年のときに美大受験を決意。「自分の何かを表現したい思いにあふれていた」という当時。女子美術短大に進学したが、技術が伴わず、評価もされない。苦しみの中にいた。結婚して子育てに励み、美術から逃げるような生活を送った。ところが40代の頃、原因不明の体調不良に。内面を見つめ直すと、劣等感から心の奥底に閉じ込めていた美術と向き合った日々が、かけがえのないものだと気がついた。「がんじがらめの中にいる人の心が癒されるような絵を描きたい」。再び筆をとり始めた。

　○…午後に絵を描くのがルーティーン。大きすぎないサイズで、生活空間になじむような作品を制作する。「賞を取ることではなく、日常に寄り添い、生活の一部になる作品を生み出したい」。15年ほど住む麻生区は、まちも人も心に余裕が感じられ、穏やかなところが気に入っている。

　○…今後力を入れていきたいのは、モデルになる人になりたい姿や理想をインタビューして肖像画を描く「未来肖像画」。制作工程を通じて「見つけられていない、その人の本当の自分を解放することができると思う」と語る。「見る人が明るくなり、新しい視点につながってほしい」という創作活動の根幹がある今は、「ゆるがない。どんな評価をされても大丈夫」と強い芯を持つ。