NPO法人ぶらりばの理事長を務める
小幡富士雄さん
王禅寺東在住　76歳

｢誠実さの直球｣投げ続け

　○…障害者の日中一時支援や自立支援などの活動を行うＮＰＯ法人ぶらりば。先月開催された「あさお芸術のまちコンサート」では利用者たちの作品を展示し、活動の成果を発信した。「作品が愛されることで彼ら自身も愛され、認められるきっかけになればうれしい」とほほ笑む。今年から展示の部の責任者も務め、的確な指示で来場者が見やすい会場づくりに貢献した。持ち前の器用さを地域に還元する。

　○…大学で建築デザインを学び、卒業後は大手設計事務所で働くことに。自動車メーカーの保養施設の設計を担当するなど、優れた手腕で大企業の建築設計に多く携わった。独立を考え始めた際に出会った作家から贈られた言葉が「社会に対して誠実という名の直球を投げ続ければ、どんな返球があっても受け止められる」。その言葉を胸に個人事務所を立ち上げ、会社員時代のつながりに助けられながら、日々まい進した。

　○…一線を退いた後は、現在の活動の前身となる、音楽を通した障害児支援に従事。利用者たちの成長と共に増えていくニーズに合わせて、事業を展開してきた。就労支援として運営する弁当の販売所は、行列ができるほど地域からの評判が高く、まちの人に見守られながら活動を進めている。「オープンな福祉が実現できている証拠だと思う。次の世代にも思いを引き継いでいきたい」と今後を見据える。

　○…幼い頃夢中になった鉄道模型づくりに再び熱中する。同じ趣味を共有したいと、１年ほど前に、地域の病院やこども文化センターなどでも展示を行っている新百合ヶ丘鉄道模型クラブに入会した。「地域貢献と模型づくりが同時にできるのは願ったり叶ったり」と、さまざまな形でまちのために動いていく。