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厚木・愛川・清川 人物風土記

公開日:2026.06.12

厚木市鳶尾の「もりや亭」で透かし彫りの陶芸作品を展示している 高野 一夫さん 厚木市飯山在住 81歳

  • 高野 一夫さん (写真1)

緻密さ極める陶芸家

 ○…厚木市鳶尾の「もりや亭」で開催中の企画展で、精巧な陶芸作品を8月1日まで披露している。手掛けるのは、刃で粘土の表面を細かくくりぬき模様を表現する「透かし彫り」で、陶芸の中でも難易度が高いとされる技法。乾燥するとヒビが入り崩壊してしまうため、粘土の湿度管理や力加減に極限の神経を使うが「難しければ難しいほど楽しいんです」と涼やかな笑顔で語る。

 ○…愛知県名古屋市で育ち、自動車業界でプラスチック成形機の仕事などに尽力した。転勤を機に厚木市へ移り住んで約半世紀。陶芸は定年退職後に始め、今では自宅に工房を構えるほどのめり込んでいる。図面と向き合ってきた精密な気質は私生活にも現れ、自宅の庭は草一本にも目を配る。念入りな草むしりや、川沿いの散歩が日々の「リフレッシュ」となっている。

 ○…透かし彫りに使う約40点もの道具は、ほとんどが手作りで、掃除機のバネや傘の骨、ラジオのアンテナなどの不用品を分解し、作品や用途に合わせ、粘土にスッと入る極薄の刃を作り出す。「いらなくなった物を再利用しているだけですよ」と目力が増す。現在は妻と2人暮らし。「子どもや孫には興味を持ってもらえなくて」と苦笑いしつつも、5人いる孫の話になると、より一層表情をほころばせる。

 ○…「自分には絵心が全くなくて」と自らを控えめに評価する。だからこそ、数え切れない失敗を経て、狙い通りに焼き上がった時の達成感はひとしおだという。長年培った技術を誇示する気はなく、以前は人前に作品を出すことに後ろ向きだった。「でも、この年になって透かし彫りや陶芸の魅力を広めたくて」と優しく微笑む。限りない集中力で今日も工房に籠る。

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