新年の幕開けに、吉田雄人市長にインタビューを行った。吉田市長は世界大会誘致が実現したウインドサーフィンなどスポーツの分野での話題に加え、市民主体で進められている地域活性の新しいカタチに期待感を示した。 《聞き手・本紙編集長 安池裕之》
スポーツ軸にした展開も
─まずは昨年を振り返って、どんな年だったでしょうか。
「スポーツの話題が尽きない1年でした。日本中がリオ五輪(パラ)に沸きましたが、本市ゆかりの吉田愛選手(セーリング競技)や山口貴久選手(ウィルチェアーラグビー)などの活躍に胸が躍りました。横浜DeNAベイスターズファーム施設の追浜移転集約にウインドサーフィンW杯の開催決定もあり、スポーツを軸にした”地域おこし”がこれから始まります。加えて今年は柔道、卓球などで1千人規模の大会が開かれるほか、秋の風物詩である『よこすかシーサイドマラソン』は市が加わった協議会が発足し、大会をより発展させていく方針です。横浜横須賀道路(佐原IC〜馬堀海岸IC間)をコースとして利用する交渉も進めており、早期の実現を願っています」
「新しい領域挑戦し続ける」
─米でトランプ氏の大統領就任が決まりました。在日米軍基地について様々な発言があります。あらためて市長の基地についての考え方を聞かせてください。
「日米の両基地が東アジアの安全保障を担っています。こうした現実を現実のものとして受け止める一方、市域の面積の3・3%を占有している事実に関して、しっかり国に負担を求めていく、というスタンスです。トランプ氏の言動には高い関心を持って注視しています」
─2期目の任期が残り半年です。市長公約の達成度をどのように捉えていますか。
「感覚的には4分の3程度。来年度予算が固まった段階で外部評価を受ける必要があると考えています。中でも重点課題としている人口減少対策は、社会増減をプラスに転じさせる目標を実現できていません。この問題は一朝一夕に解決できるものではありません。再開発の促進や良質な住宅ストックの形成、子育て世代への政策アプローチ、都市イメージ発信等の策を打ち続けることが大切です。3期目の挑戦を発表していますが、腰を据えて取り組む構えです。個人的には、医療・介護の多職種連携を進めてきたことで『在宅死亡率』が全国でトップになったことなどは、大きな手応えを感じています」
─人口問題に関連するところで「まちなか居住」が加速しています。中央エリアでは新しいマンション開発の動きもあります。
「無秩序に住戸が増えることを歓迎しませんが、”歩いて暮らせる”街づくりは進めたいと思っています。中央エリアは商都であり、観光客を迎える玄関口でもあり、多面的な顔と機能を持っています。めざす将来の姿を示す青写真と行政のかじ取りが必要でしょう」
─昨年は2社の企業誘致が決定しました。このほかに久里浜では横須賀火力発電所の運転再開の発表もあり、経済波及に期待が募ります。
「横須賀火力発電所は平成35年の操業再開をめざして、既存施設の解体工事などがすでにスタートしています。動き出すまでの期間も、地域雇用や消費の拡大が期待できます。経済的な部分で大きなインパクトをもたらすでしょう」
─旧軍港4市が鎮守府のまちとして「日本遺産」認定を受けました。ただ、市民ムードの高まりや観光客の来訪につながっていない印象です。
「まさしくこれからの取り組みです。まずは4市での送客・誘客の仕組みづくり。周遊を促すスタンプラリーなども企画しています。4市をクルーズ船で巡る構想も具体化を進めているところです」
─千代ヶ崎砲台跡や走水低砲台跡の近代遺跡公開は、市民の関心を集めました。残されているところで、追浜海軍航空隊の貝山地下壕跡などがあります。
「貝山地下壕跡は地域の皆さんが注目して動き始めています。現在、安全性の確認と全容調査を進めているところです。時間はかかりますが、見学などが可能となれば集客の目玉になるでしょう」
─2017年はどんな年になりそうですか。
「市民主体のまちづくりの萌芽を感じています。大学生を主体とした『ヨコスカ未来100人会議』、中央の若手商店主たち(ヨコスカダウンタウンクラブ)がスタートさせた『街市』、地域が一つになって行動を起こした『浦賀奉行所復元協議会』など、それぞれが課題意識をもって取り組みを始めています。そうした動きを行政がしっかり後押ししていきたいと考えています。浦賀地区の地域活性に関しては、先の有志メンバーがうねりを起こしてくれました。地権者である住友重機械工業の別川俊介社長との初めての面会で前向きな言葉をいただくことができました。私自身『動き始めている』感触を持っています」
─長坂のドローンフィールド開設など、ICT分野への積極関与の姿勢が目立ちます。
「市民ニーズやビジネスの動きは絶えず変化しています。それを的確に捉えて市政に取り入れていくことが必要であり、新しい領域への挑戦は不可欠です。ICTだけでなく、エンディングプラン・サポートや特別養子縁組などの取り組みも同じ文脈で捉えています」
─最後に、100条委員会で市議会から告発を受けたことに関して、率直な思いを聞かせてください。
「ご指摘を受け止めて、反省や改善が必要な部分は正していきます。ただ、市議会の証人喚問で偽証をしたという部分には納得していません。告発という手段を取った市議会のあり方を市民の皆さんにも見てもらいたい。市議会とは横須賀を前に進める建設的な議論をしたいと思っています」
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