パラリンピック自転車競技の石井雅史選手(43、遠藤在住)=写真=が、パラサイクリングへの転向から10年にあたる今年、現役を引退する。「振り返ると『やり切った』という清々しい気持ち」。高次脳機能障害や、選手生命が危ぶまれる幾多のけがを乗り越えて走り続けた金メダリストが笑顔で語った。
平塚競輪場所属のA級選手として活躍していた石井選手。2001年、ロードワーク中に事故に遭い、脳機能に障害を負った。その後競輪を引退し、パラサイクリングに転向。06、07年の世界選手権で世界新記録を樹立したほか、08年のパラリンピック北京大会で、金、銀、銅3つのメダルを獲得し、世界中にその圧倒的な実力を見せつけた。
王者を悲劇が襲ったのは、その翌年だった。09年の世界選手権で、1位を競っていた石井選手がゴール直前でフェンスに衝突。全身12カ所を骨折し、肺に穴が開く大けがに泣いた。
懸命のリハビリを経て、12年のパラリンピック・ロンドン大会に出場。今年9月には「10年間の集大成」としてリオデジャネイロ大会に臨んだ。メダルには届かなかったが「トラック競技 男子1000mタイムトライアル」で6位入賞を果たした。
大会終了後、10年来のライバルだったチェコ代表のイエリ・ボウシュカ選手が「10年間ありがとう」と石井選手の部屋を訪ねてきた。互いのジャージを交換した2人。石井選手は「良いライバルとして認めてくれていた。嬉しかった」と笑った。
全競技を終え、走り続けた10年間を振り返ると「自然と涙が出てきた。競輪時代よりも濃い10年だった」。10月末のレースで現役に幕を下ろす。今後は家族との時間を大切にしながら、次世代の指導にも励みたいという。「自転車あっての自分の人生。この決断に悔いはない」
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