「自分の力だとは思っていない。皆さんや地域があったからこそ」。県最高賞の一つを受賞し、最初に口をついたのは周囲への感謝だ。民生委員児童委員として活動し20余年。「多くの人に支えられて今がある」と歩みをかみ締める。
困窮する地域住民を行政や福祉サービスにつなぐ民生委員。高齢者に加え、最近はひとり親世帯やヤングケアラーなど見守りは多岐にわたる。「困っても直接声をあげられない人もいる。耳を『ダンボ』にして、いかに早く支援を必要とする人にそっと手を差し伸べられるか」。そんな信条を胸に地域を駆け回る。
元高校教師。私生活では大庭小学校のPTA会長や大庭子どもの家の運営委員を長く務めた。元々福祉との関わりはなかったが、当時の会長や市民センター長の熱意に押され、「1期だけですよ」と引き受けた。
活動を始めると、新任にも関わらず担当する地域の人々から続々と声がかかった。「今から来てくれるかしら」「顔が見られて良かった」。それまで気が付かなかった地域課題に触れると同時に、頼りにされることがうれしかった。「最初は怪訝にしていた人が2、3年経つと『待ってたよ』と喜んでくれたり。信用に足る相手だと認めてもらえるとほっとする」。気が付けば期数を重ね会長にも就任した。
子どもたちが下校時、自身の名前を呼んで駆け寄ってくる。「森さん、一緒に帰ろう」。そんな瞬間も活動を長く続ける原動力だ。
大庭地区は市内で最も高齢化率が高く、潜在する課題も多い。「関係機関と連携しながら、共生社会を皆で一緒に目指したい」。朗らかな笑みは慈愛に満ちていた。
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