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藤沢 社会

公開日:2024.12.13

鵠沼石上の喫茶古今
飲食店「お試し」の場に
市内医師が開業支援

  • 瀟洒な雰囲気の店内に座る若木さん(右)と竹内さん

 藤沢で飲食店の開設を志す人らに事業を試す機会を提供する「トライアルキッチン」を行う場がある。今年5月にオープンした「喫茶古今」(鵠沼石上3の1の2)。市内の勤務医、若木美佐さんがオーナーを務め、日替わりの店主は顧客ニーズや売り上げシミュレーションなどをリアルに体感できる。新しい人の流れをつくり、にぎわい創出に寄与したい考えだ。

多世代交流で住民ら見守り

 呼吸器内科の医師で、訪問診療や緩和ケアにも携わる若木さん。施設に入居し、住み慣れた土地で最期を迎えられない高齢者を数多く見てきた経験から、元々は看取りまで対応するシェアハウスの運営を目指していた。

 そんな折、江ノ島電鉄「石上駅」にほど近い、閑静な住宅街にある一軒家にたどり着いた。聞けば、かつて孤独死した人が一年以上経過してから発見された物件とのこと。「ショックだった」。近所づきあいの乏しさから起こる悲しい出来事を受け止め、「多世代交流の場をつくれば、利用者間の見守りにつながるのでは」と自費で購入。建て替えを決意した。

夢への第一歩台所で後押し

 設計士と共にデザインした落ち着きのある店内に20席ほどを用意。小上がりのスペースには絵本が並び、トイレにオムツ交換台も。奥に進むと扉で仕切られた面談室があり、子育てや不登校、介護などに悩む人の受け皿にと、ソーシャルワーカー(生活相談員)との面談も視野に入れる。

 今月7日、シェアキッチンで作業していたのは、チョコレート製造会社で働く竹内絵美子さん。50歳を機に、鵠沼藤が谷の自宅を拠点に菓子を作り、「MAISON DU CYGNE」と銘打ったブランドを立ち上げた。店舗を構えたい思いはあったが、自身の理想に叶ったテナントが見つからず、共通の知人を通じて若木さんに相談。ひとまずここで、夢への第一歩を踏み出した。

 毎週土曜、旬の果物を使用したパフェを振る舞う竹内さん。「ご近所の方だけでなく、インスタグラムを見た県外の方も訪れる」と出店の可能性を実感しつつある。

 古今は午前7時から午後5時まで、1時間1千円から間借りでき、現在は竹内さんのほか、豆腐やカレー、スイーツのシェフなどが利用する。

 「店主の夢を応援し、地域住民が安心して暮らせる場になれば」と若木さんは展望を描く。

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