「チーム、家族、友人、病院の先生に恩返しの気持ちで登板したい」。現在も治療を続けながらマウンドに立つ。試行錯誤を重ねた膝に負荷のかかりにくい投球フォーム。一球一球確かめるように投げ込んだ。
昨年8月の練習試合。持ち味のナチュラルシュート気味のストレートや制球力を武器に9回完投。体調にも気を付けていた。ただ、あいさつ後の記憶がなかった。
気付くと病床だった。重度の熱中症で誘発された首と膝のけいれんが起き、筋肉神経細胞が壊滅。数週間入院し、立ち上がることができず車いす生活を余儀なくされた。「人生が終わったのか。野球はできるのか」。不安だった。
「今できることをやるしかない。がんばった先には何かある」。信じてきた言葉を胸に根気強く歩行訓練を続けた。
その努力が実り、秋の大会では杖をつきベンチに戻った。チームの一員としては勝ってほしい。ただ、自分がもし大丈夫だったらもっと力になれたのか。歯がゆくもしチームを鼓舞し続けた。
低下した筋力をトレーニングし、フォーム改造に取り組み迎えた春季大会。先発投手が打ち込まれた際、リリーフで登板機会が巡ってきた。三振で抑えた。
木内義和監督曰く「どんな時も大丈夫、大丈夫と答えるがんばり屋」。日替わりでヒーローが誕生する束になって戦うチームの合言葉は「まず初戦突破。その次の試合は杉山を先発に」。監督、選手とともにミーティングで誓った言葉を背に夏に挑む。
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