「『止まれ』の道路標示がかすれて見にくい場所があるが、いつまで経っても補修されない。なぜか調べてほしい」。本紙の読者からそんな投稿が寄せられた。言われてみれば記者自身、日頃街を駆けまわる中で、同様の道路標示を散見する。取材を進めると、「危ないから早く直してほしい」という地域住民の声も聞こえてきた。補修の手順や基準はどうなっているのか、調べてみた。
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問い合わせがあった市内高架下近くの丁字路。一時停止の看板はあるが、道路標示はかすれていることに加え、工事でアスファルトをはがした部分がそのまま欠けていた。写真を撮り、知り合いの警察官に見せると「確かに視認性が落ちていますね」。聞けば、交通規制に関する道路標示は県警が取りまとめ、順次補修しているという。
高架下の表示はその後補修されたが、他にもないか調べてみるとすぐに見つかった。記者が勤務する鵠沼神明の住宅街。4叉路の3方向に「止まれ」の表示があるが、うち一つはほとんど消え、隣り合う横断歩道も半分以上が消えていた。
「このあたりは意外に交通量が多く、子どもたちの往来も多い。前から危ないと思っていた」
そう話すのは近所に住む内藤繁さん(85)。近くには中学校や保育園、公園が徒歩圏内にある。当該場所も通学路で、以前は付近で交通事故も頻繁に起きていたという。
補修まで半年
神奈川県警交通規制課によると、藤沢市内に道路標示のある横断歩道は約3800カ所、一時停止は約4800カ所ある。補修は各署が住民の要望や巡回で把握した場所を上申。それを受けた本部が、通学路であるかどうかや事故の危険性などを加味した上で優先順位をつけて決定する。
なぜ時間がかかるのか。担当者は「現地調査や標示方法の検討、一般競争入札にかかる業者の決定など複数の手順が必要になるため」と説明。執行には県議会の予算承認も必要で、補修までは概ね半年ほどかかるという。また県下の補修件数は過去5年ほどで年々増えているという。
県は現在、AI(人工知能)を使い、道路標示の摩耗状況を把握し、早期に補修する「消えかけ白線ゼロ」に向けた取り組みを推進。今年度、補正予算と合わせて12億円超を計上しており、今年度内に6割方が摩耗して消えている道路標示の大半の補修を進め、24年度中に完了させる予定としている。
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