はだのっ子 いま・みらい 教育寄稿第25回 朝の来ない夜はない 内藤 美彦
「心」を漢字で書くと、一点一画がばらばらで、交わっているところのない珍しい文字です。これは、心が「とりとめもない」ということを表しているのだといいます。また、心は「ころころ変わる」ので「こころ」という説もあります。
沢庵禅師も「心こそ 心惑わす 心なり 心に心 心許すな」(心はぶれ易いからしっかり管理しなさい)と言っているのです。自分の自由になりそうで、そうならないのが心なのです。
同じことに接しても、時と場合によって心のあり方は違ってしまいます。雨の日を「良かった」と「具合悪い」と立場が違うと思いも異なるのです。テストで80点の時、満点だったり、不満だったりするのも状況によって違ってきます。このように、心は多様に変化するのです。この心が生きていく上での拠り所でもあるわけで、善用していくことが大切だと思います。
心と脳の関係の学問的研究も進んでおり、書物もたくさん出ております。そういった難しいことではなく、心の持ち方で人生を明るく、楽しくなることを考えたいのです。それが陽転の発想、プラス思考だと思います。それは、身の回りに起きた事柄は、自分に良いことなのだ、と肯定的に捉えることから生まれるのです。
伯母が糖尿病を患い、目も不自由になり、入院したので見舞いに行きました。その時「本もテレビも見られなくて、つまらないでしょう」。気に障ることを、うかつにも言ってしまったのです。ところが、伯母は平然と「そんな事ないよ。ここまで生きれば楽しい思い出がたくさんあるから、それを思い出し、短歌でも作ろうと考えていると1日なんてあっという間だよ」と言ったのです。さらに、「もうすぐあの世だろうが、親兄弟や親しかった人たちが待っていて、会えるのかと思うと死ぬのが楽しみだよ」と続けました。病床にあっても、現状を良しとする姿勢に、伯母の幸せな日日を感じたのでした。
私たちの生活には、苦しく辛いことが多いです。でも「朝の来ない夜はない」と言います。現実を悲観的に考えず、明るい展望を描き、それに向かって努力することです。高杉晋作の辞世は「面白き こともなき世を 面白く 住みなすものは 心なりけり」。
■プロフィール
横浜国立大学卒業。秦野市立小学校教諭。秦野市立本町小学校校長。秦野市教育委員会教育長を歴任。
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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