連載98 令和3年度下水道事業会計は不認定！ みらい川崎市議会議員団 こば りか子
8月25日の上下水道局を所管する環境委員会で、「下水道管理事務所において物品購入に係る非違（犯罪）行為を行っていた職員16人に懲戒処分等を行った」との報告がありました。内容は、虚偽報告・架空発注による差替え・預け金の発生、差替えで納入させた消耗品を活用しトレーニンググッズを製作して持ち帰った私的流用詐取、差替えで購入した高圧洗浄機を実家で保管する私的流用窃取などです。不起訴処分になりましたが、警察による捜査も受け、市長から「市民の信頼を著しく失墜させる行為であり、大変重く受け止めている」との答弁があるなど、下水道事務所における違法行為は、来年度に報告予定の「令和４年度 内部統制評価報告書」に「重大な不備」として指摘される予定の事案です。しかも財務面においては、下水道事業会計の過年度分の訂正は、令和４年度の決算書類にて改めるとのことですが、我が会派が調査を進める過程で、起案日が令和３年度中の物品購入に係る公文書を確認したところ、架空発注を行う上で作成された虚偽の財務文書が複数含まれており、事務執行が令和３年度中の下水道事業会計の中で行われていたことからも、「適正性を欠く決算」と判断せざるを得ません。
｢違法行為に該当｣も｢認定｣、議会は毅然と行政チェックを
また監査事務局長は、前職であった上下水道局総務部長時代に発覚したこの度の職員の違法行為について、本年４月に監査事務局長就任後、監査委員及び事務局内に情報提供を行っていなかったことも判明しています。決算審査は地方自治法において「首長は、監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて議会に諮ること」と定められており、監査委員に正しい情報を速やかに提供し共有することは至極当然です。この件について監査事務局長が適切に情報提供を行っていれば、令和３年度公営企業会計決算審査意見書に、上下水道局の違法行為に触れた内容となることは明かであり、今議会で示された意見書とは異なった指摘がなされたものと考えます。
「地方議会運営辞典」では、「決算認定」の項目に「決算審査の結果、法令等の違反など重大な問題が発見されたような場合には、議会として、これを不認定することもありえる」との記載があります。であれば、今回の上下水道局の違法行為は、十分該当するものと考えます。よって、我が会派は、議会の決算審査を正しく機能させることからも、下水道事業会計については、不認定と判断しました。
しかし、逮捕者こそ出なかったものの、明らかな犯罪行為が行われていたことを当局も市も認め、不正確な決算資料が示されたことも明らかであり、これほど不認定たる事実が判明しているにも関わらず、自民党・公明党・無所属7人中3人が賛成したため、下水道事業会計は残念ながら認定されてしまいました。私たち議会の最大の任務は、行政のチェック機能です。これが正しく機能していないこと自体、問題なのかもしれません。
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