東京パラリンピック出場を目指し選手復帰を決めた 石井 雅史さん 遠藤在住 46歳
いつまでも夢を持って
○…3年前、自転車の競技人生に一度は幕を下ろしたが、「選手として子どもたちに伝えることがまだある」と一念発起。東京パラリンピック出場を目指し、再び戦いの舞台へ上がることを決めた。現在は時間を見つけては自転車に乗り、身体を絞り込むためトレーニングに励んでいる。「乗っている時は精神的にリラックスできる。自分にとって無くてはならないもの」と熱い思いを語る。
○…中学3年の夏、テントを背負って一人で伊豆半島一周を成し遂げた。親戚から「藤嶺藤沢高校の自転車部がある」と聞き、進学。卒業後は競輪の学校へ進み、20歳でデビューした。しかし、選手として成長していた矢先に事故に遭い、高次脳機能障害に。一部の記憶維持が困難になり、選手としての目標を失った。家に引きこもるようになったが「元気づけようと高校時代の友人が一緒に自転車に乗ってくれたことが心の支えだった」と当時を振り返る。
○…今は3人の息子と4人暮らし。子育てをしながら(公財)藤沢市みらい創造財団の職員として働き、交通安全教室の講師としての活動も行っている。講習では事故当時に被っていたヘルメットを見せ、身を守るための必要な道具だと子どもたちに伝え続けている。「ただ話すだけでは心に残らないことが多い。実体験を交えて話すことが一番思いが伝わる」と言葉を噛みしめる。
○…「何歳になっても誰しも失敗する。でも、夢ならば諦めずに挑戦する」。これこそが生きていく上で大切なことだとこれまで多くの子どもたちに訴えかけてきた。自身も同じ言葉を胸に、パラリンピックの選手選考で重要とされる日本選手権へ向けて、一歩を踏み出した。「結果も大事だけど、子どもたちに夢は叶うと証明したい」