相武台前駅南口近くの「和菓子司ふくや」が9月末をめどに閉店し、創業41年の歴史に幕をおろすことになった。これを受けて、児童養護施設「成光学園」は今月18日、学園を支え、子どもの憩いの場となっていた同店に、感謝状と寄せ書きを贈呈した。
福山重志さん(71歳)と妻の節子さん(70歳)が二人三脚で営んできた同店。もともとは、小田急相模原駅近くのスーパーマーケットで営業していたが、1971年に相武台に移転した。当時店の前の道路は、駅に向かう通勤、通学路となっており、多くの人が買い物に訪れていたという。
同店から歩いて数分の成光学園とは、2代目の矢部皖一(かんいち)園長の頃から交流が始まった。1日の営業が終わると、残ったかしわ餅やおはぎ、のり巻き、いなり寿司などを無償で提供していた。その翌朝、施設から学校へ向かう児童が、「ごちそう様でした」と元気よく声をかけてくれたという。10年ほど前に商品の提供が終わった後も、お小遣いを持った子どもが買い物に来たり、同園が季節の商品を購入したりと関係は続いていた。
特に人気のあった商品が、餅菓子の「すあま」。甘くさっぱりとした味で、80円という値段ながらボリュームのある菓子。小遣い帳の記録が、「すあま」でいっぱいになる児童もいる。贈呈された寄せ書きには「ずっーと何年も何年も愛していました。もう食べることが無いと考えるとさみしい気持ちでいっぱい」という言葉が書かれている。
「お店は地域との接点」
18日は、3代目の矢部雅文園長が、感謝状と2枚の寄せ書きを持って同店を訪れ、重志さんに直接手渡した。自身も同店に可愛がってもらった経験があるという矢部園長は、「生徒にとって、ふくやさんは地域との接点だった」として、「買い物の時に会話したり、通学中にあいさつすることは、貴重な経験でした。閉店してしまうことは残念です」と話した。
受け取った重志さんは、「子どもたちに対して『世話をする』という気持ちで続けたわけではないけれど、寄せ書きと感謝状をもらえてうれしいですね」と笑顔で語った。また、この日は不在だった節子さんも「いつも元気いっぱいにあいさつをしてくれて、本当に良い子たちばかりでしたよ」とうれしそうに振り返った。
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