生活保護に至る前のセーフティネットを拡充するため、昨年4月に施行された「生活困窮者自立支援法」。施行に合わせて座間市が受け付けている困窮者からの新規相談件数が、この1年間で240件に上ったことが分かった。開始直後は11件と少なかったが、今年2月と3月はともに30件を超えた。相談後、働き先が見つかった人や増収したケースも増加傾向にあり、市では制度周知が進んだことや庁内連携充実などが奏功したと分析している。
新規相談は月30件超
この法律は、最低限の生活を維持することができなくなる恐れがある人を支援するもの。生活保護を受給する状態にならないよう、潜在的な段階で問題を早期発見し、就労支援などにつなげる狙いだ。
その入口として都道府県や市区町村に相談窓口が設けられており、座間市では生活援護課が担当している。「仕事が見つからない」「家賃が払えない」「住む場所が無い」などの問題を抱える人に対し、職員が生活状況に応じて支援プランを提案。ハローワークと連携して就労サポートしているほか、市内企業と相談者の間で仕事を斡旋する「市無料職業紹介事業」などを行っている。
国の目標値超える
昨年4月から今年3月までに、電話や面談などの「新規相談」は240件。11月までは月10〜23件の範囲で変動していたものの、12月からは20件以上で推移するようになった。3月は30件で、国が目標値として掲げる「人口10万人あたり月20件」を3件ほど上回っている。
支援継続中の件数は3月末で76件。相談を通じて実際に就労した人は46人、その後、収入が増えたのは28人となった。
増加傾向について同課は、制度の認知度が向上していると分析する。民生委員・児童委員や地域包括支援センター、社会福祉協議会、NPO法人、ボランティア団体などを通じて周知を進めてきた。
庁内連携も充実したと言い、当初は生活保護の相談に訪れた人を受け入れるケースが大半だったが、昨夏からは他部署を経由することが増えた。特に、多重債務に関する悩みや離婚問題などの相談が寄せられる広報広聴人権課(現/広聴人権課)が多かったという。
就労支援充実へ
課題も見えてきた。その1つが、就労支援体制の充実だ。無料職業紹介事業で有する求人件数は約20件となっているが、今後さらに増やしていく。また、一般的な仕事に就くことが難しい人が支援を受けながら働く、いわゆる中間的就労も充実したいとしている。
就労後の「モニタリング」や「フォローアップ」も必要だとして、家計のやりくりをサポートする事業も2016年度中にスタートさせる予定だ。
「おっせかい」に
「今後は、良い意味での『おせっかい』がキーワードになります」と同課職員。市内における生活困窮者を早期に見つけ、積極的にサポートを働きかけていく考え。また、NPOや市民ボランティア、民間企業との連携も掲げており、「地域のおせっかいネットワークを構築していきたい」と話している。相談は、同課【電話】046・252・8566で受け付けている。
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