食べ物を企業や市民から寄付してもらい、必要としている人に届ける「フードバンク」。困窮者支援や食品廃棄量改善などで注目されているこの社会福祉活動に、相模が丘の「NPO法人ワンエイド」(松本篝(かがり)理事長)が、今年1月から取り組んでいる。開始から半年が経ち、支援を求める登録者数は約400人にのぼり、協力を名乗り出る民間企業が現れるなど、活動のすそ野は徐々に拡がりつつある。
開始半年で、希望者400人に
座間街道沿いにある広さ8坪ほどの事務所が、食べ物の保管場所。室内には、食品が詰まった段ボール箱が山積みされている。冷蔵や冷凍が必要なものは、民間会社から譲り受けた業務用保冷バッグに入れて保管する。室内の壁にはフードバンクや食品廃棄、貧困問題の現状を訴えかけるチラシが貼られている。「フードバンクや、その背景について知らない人が多い。知ってもらえるきっかけになれば」と松本理事長。3月からは月1回説明会を開き、啓発に努めている。
拡がる需要
フードバンクとは、製造工程で発生した規格外品や小売店での売れ残り、家庭で余った食料品を引き取り、生活困窮者やひとり親家庭、児童養護施設などに無料で提供する取り組み。まだ食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」を減らすとともに、貧困者支援策としても期待されている。
2011年創立の同法人は昨年まで、高齢者サポートを展開してきた。食べることに困っている相談を多く受けたことから、フードバンクに着手したという。
この半年で、支援を希望する人は400人を超えた。ネットや行政で取り組みを知る人もいれば、口コミで訪れる人もいる。松本理事長によると、県内でフードバンクを行う団体は少なく、市内だけではなく横浜市や鎌倉市からも依頼が舞い込むそう。約20人のスタッフで対応しており、今は食料を届けるのではなく、引き取りに来てもらうシステムを原則採用している。
支援者も増えつつある。個人や団体の寄付件数は平均して週2、3件。企業では東原のコストコ座間倉庫店や、広野台にセンターを置く食品宅配サービス・らでぃっしゅぼーや(株)から、週1回のペースで提供を受けている。
情報発信に課題
課題も見えてきた。1つは保管方法。気温が上昇するこれからの時季は、特に冷凍・冷蔵が必要となり、現状の体制で対応できるか頭を悩ませている。
もう1つの課題というのが情報発信。今はSOSカードという名刺大の啓発物を市役所関係課や座間市民活動サポートセンターに置いているほか、ネット交流サイトFacebookなどで発信している。啓発も兼ね、加工品を入れられる「フードバンクボックス」を公共施設などに置いてもらえるよう働きかけている。松本理事長は「高齢者、独り親家庭、障がい者などの支援に関わる団体同士が連携を深めることで情報共有し、食べることに困る人を一人でも少なくしたい」と話している。
食料の寄付は消費期限が2カ月以上残っているものを受付。今月の説明会は17日(金)午後1時から同法人(相模が丘4の42の20)で行う。問合せは同法人【電話】046・258・0002。
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