取材に応じる多田貴栄麻生区長
新年にあたり、本紙では多田貴栄麻生区長にインタビューを行った。多田区長は防災や地域コミュニティーへの取り組み、芸術・文化に対する活動について語った。（聞き手／本紙・麻生区編集室長・座間政彦）
――昨年を振り返り、印象に残った出来事をお聞かせください。
「新型コロナウイルス感染拡大により、多くのイベント等は中止となり、外出時にはソーシャルディスタンスが求められる等、これまでとは違う日常を送ることとなりました。特に子育て世代や高齢者の孤立が心配されましたが、民生委員・児童委員や町内会・自治会、地域包括支援センターなど、地域の皆様の温かいご支援をいただきました。区民・事業者・各団体の皆様も、区役所も、様々な工夫を凝らし取り組んだ１年になったと存じます」
――ほかに印象に残る出来事はありましたか。
「嬉しい出来事として、麻生区に練習場を持つプロサッカーチーム『川崎フロンターレ』は、コロナ禍にありながら、史上最速でＪリーグ３度目の優勝を果たし、元気をいただきました」
自らを守る防災
――区として今後継続して力を入れていく取り組みを教えてください。
「まずは地域防災力の向上のための取り組みです。災害はいつどこで発生するか分からないことから、コロナ禍においても防災は止めることが出来ないと考えております。昨年は、地域の多様な皆様との連携による区の総合防災訓練実施、また災害時は自分の身は自分で守れるよう、家庭での備えの重要性や『身近な地域での支えあい』等をお伝えする防災ハンドブックを作成いたしました。今年度も引き続き、地域の自主防災組織の皆様をはじめに事業者の皆様とも連携を深めながら、防災意識の向上に取り組んでまいります」
――芸術・文化についてはどうですか。
「昨年、『芸術・文化のまち麻生』を体験して頂けるよう、区内の芸術文化に関係する30を超える団体等によるステージや親子ワークショップなどに、子どもからシニアまで大勢の方が参加された『カフェ・グランデ あさお』を初めて開催いたしました。また、黒川に練習所がある読売日本交響楽団は、町内会と連携したコンサートの開催、地元オーケストラへの指導などを実践され、音楽の輪がつながりはじめました。今後も、豊富な芸術・文化の資源を持つ、麻生区ならではの取組の充実を図り、区内に広げてまいります」
多様なつながりを
――新型コロナのため、地域のコミュニティー、多世代交流の大切さを改めて感じる１年でした。
「そうですね、麻生区では地域包括ケアシステムの構築と、これからのコミュニティー施策の推進にも力を入れ、ご近所の顔の見える関係づくりや、認知症にやさしいまちづくりに取り組んでおります。また、超高齢社会においては、多様なつながりや多世代との交流のもと、持続可能なコミュニティーづくりが必要となっています。これからのコミュニティー施策として、新しい生活様式に留意しながら、誰もが気軽に集え、多様なつながりを育む、地域の居場所になる『まちのひろば』の創出や新しい市民活動支援の仕組みづくりなど『あさお希望のシナリオプロジェクト』の取り組みを進めてまいります」
――区民へメッセージをお願いします。
「新型コロナウイルス感染症もいつか必ず終息が訪れると存じます。皆様のお力添えをいただきながら、豊かな自然と芸術が溶け合う活力のあるまちづくりに向けて今後も取り組んでまいります。本年が皆様にとり、夢と希望に満ちた素晴らしい年になりますよう、お祈りいたします」
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