「食べることは、生きること。食を通じて、健康づくりを」――。ひばりが丘に暮らす江原五月子(さつこ)さん(85)は食生活改善推進員として半世紀にわたり、健康や食育推進の担い手として尽力してきた。この功績が認められ、個人として県内で唯一「緑綬褒章」を受章した。
推進員は地方自治体の委託を受け、料理講習会や食育教室を行う。江原さんは1968年に市食生活改善推進団体に入会。83年から95年にかけては県食生活改善推進団体連絡協議会の会長も務めた。これまでに県知事や厚労大臣から表彰されるなど、「食改(しょっかい)」の生き字引のような存在だ。
県連会長時代は、料理にまつわる書籍や冊子の発行に数多く携わり、教室で活用した。「(本を)つくるだけじゃ駄目。実際に調理してもらって、自分の舌で味見する。そうして初めて伝わる」。子どもや大人、これまでに教えた人数は数知れないという。
受章についてしばらくは実感が沸かず、先月の伝達式で天皇陛下に拝謁し、「すごい章」を受章したことが身に沁みた。「委員が一緒に頑張ってくれたからこそです。皆と受章したようなもの」と喜んでいる。
父に学ぶ
「先生」と呼ぶのは、料理上手だった父親。「父は曾祖父に連れられて、よく食べ歩きしてみたい。だから舌が肥えていた。たまに作る料理は本当に美味しかった」と振り返る。
委員になった当時と比べて、食生活は変わった。スーパーに行けば、手軽に食べられるお弁当が並ぶ。飽食の時代において、「ご近所」や「お向かいさん」に、少しでも食の大切さや料理の楽しさを伝えられれば、そんな願いを抱いている。
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