座間市立図書館で書や写真を展示している 高井美治(よしじ)さん 入谷在住 75歳
「我流」で人を魅了
○…しんと静まった自宅の一室で、写経に精を出す。普通と異なるのは、文字が写経用紙ではなく扇面に並んでいるということ。豆粒大ながらも迫力を持った262字が、折り目にそって所狭しと並ぶ。この一風変わった書が評判を呼び、座間市立図書館長の耳に入り、「mini・ミニ展 『我流夢想展』」開催のはこびとなった。「書を習ったこともない自分の作品が並ぶのは、不思議な気持ち。でも、多くの人に伝わる書を心がけてきた。その甲斐があった」
○…展示のタイトルは、会にも属さず、誰かに師事することもなく、書を楽しんできたことからつけた。「所属すると色々な制約ができたり、お手本に沿わないといけない」。とらわれず自由に表現することに喜びを感じている。もう一つの趣味である写真にも、我流が生きる。ふと出かけては大量の写真を撮って帰り、パソコンの前に張りついて選定とトリミングに没頭する。オリジナルの、紙製の額にいれれば、作品のできあがり。
○…46年前に結婚した妻は、一番の理解者。息の合った掛け合いは、ともに過ごしてきた時間の長さを感じさせる。時には意見が違うこともあったが、お互いに尊重しながらやってきた。現在の気ままな時間も妻の支えがあってこそ。「現役の時に、妻が『定年後は趣味でもなんでも好きにしていいから今は頑張って』と言ったから」と笑うが、当の妻は否定している。
○…般若心経や「長寿の心得」などを綴った扇子は、開始5年で200本を数えるまでになった。書は、少しでも間違えればやり直し。電話がなっただけで緊張の糸が途切れることもままある。自分なりのやり方を通してきたが、最近は栗原コミュニティセンターでの写真の展示など、人に認められ、人の目に触れる機会も増えてきた。「将来は、売れなくてもいいから写真集なんかも出してみたい」。挑戦したいことは、際限なく湧いてくる。
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