入谷歌舞伎会 地域で守る伝統の灯 世代の壁越え 11月10日に公演
江戸の末期から、座間で伝承されてきたとされる農村歌舞伎。その伝統を今に伝える「入谷歌舞伎会」が、11月10日(日)に公演する。一度は後継者不足により活動中断を余儀なくされた同会。近隣小学校への協力も要請し、今年は過去最多13人の子どもが、会員とともに舞台にたつ。
夜の公民館に、威勢の良い拍子木の音が響く。「なに源蔵殿、申し付けてはおこしたれども、定めて最期の節、未練な死を、致したでござろう」「ああいや、若君菅秀才の御身代わりと言い聞かしたれば、潔う首さしのべ」――。
この日の稽古演目は「菅原伝授手習鑑 寺子屋の段」。主人公「松王」の子が、政敵に狙われた菅原道真の子の身代わりとして殺される。失意の松王が、わが子の死にざまについて源蔵に尋ねる重要なシーンだ。演者にも自然と熱が入り、緊張感が漂う。
指導するのは、蛭間八重子さん(=厚木市)。昨年亡くなった義兄に代わり、稽古を買って出た。本番を目前に控え、指導は歌舞伎独特の所作、セリフの間や抑揚など細部に及んだ。
消えかけた芸能住民の手で再燃
座間に農村歌舞伎が伝わったとされるのは、江戸時代末期。入谷地区では戦後に会が結成され、鈴鹿明神社での祭事の余興として地域住民に親しまれてきた。
しかし、次第に若手が減り高齢化が進んだことから、1983年に活動中止。13年後に市の職員の呼びかけに応じる形で、市民が再結成した。
現在、会の稽古には多くの子どもが顔を出す。会員が地域の小学校で出前講座を開き、地道な普及活動を行った成果だ。最年少は3歳11カ月。中には3世代で稽古に参加する家庭もあるという。
練習を見守った加藤一会長は「今年は例年よりも多い子どもたちが舞台にたつ。観客にも、出演する子どもたちにも歌舞伎の良さを伝えたい」と期待を込めて語った。
公演はハーモニーホール座間で正午から。全席自由、入場無料。
問い合わせは市生涯学習課 046・252・8476へ。
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