市役所に隣接するふれあい会館1階のレストランで週1回、子どもたちに手作りの食事を無償提供する「座間こども食堂」が開かれている。初めは貧困家庭への支援の一環としてはじめられたこの取組み。現在は、仕事や家事に追われ、ゆっくりと団らんする余裕のない親とその子どもたちの、安らぎの場としての役割も果たし始めている。
「暖かい食事とひとときの団らんを」
夜6時、市役所横にあるレストラン「D&C!座間市役所店」(緑ケ丘)の営業が終わるころ、何組かの親子連れが集まりはじめた。手にはケチャップがたっぷりかかったオムライス。野菜サラダや子どもに人気のからあげ、フライドポテトにスープ。着席した子どもたちはあっという間に平らげると、母親やほかの親子たちと談笑していた。
いま、子どもたちを貧食や孤食から救おうと全国的な広がりを見せる「こども食堂」。子どもの貧困率が年々上昇し、16%にせまった2012年頃、都内で始められたと言われる。同店を運営するGMW(株)の櫻田努代表がこの活動を知り、「座間こども食堂プロジェクト」の立ち上げを決意。全国的にも極めてまれな、民間レストランでの開催が決まった。
「レストランだと設備がそろっているから、特別な設備投資がいらない。何より、皆が入りやすいと思ったから」。決めてすぐに開設に向けて動き出し、2月から計11回開催してきた。
来やすい環境に
計画当初は貧困家庭の子どもだけを支援しようと考えていたが、すぐに考えが変わった。「本当に必要な人だけにと思ったけれど、それだとこども食堂に来ている人、イコール貧困家庭ということになってしまう。それでは人目が気になって誰も来ない。子育て支援になればいいと思うようになった」。あえて門戸を広げ、PRも学童などを通じて地道にやってきた。現在は毎週10家族程度、20〜30人の親子が来店。櫻田代表も「ちょうどいいバランスかな」とうなずいた。
運営には趣旨に賛同したボランティア10人ほどが携わり配膳などを手伝っているが、材料費のほとんどや調理スタッフの人件費、光熱費は持ち出しの状態が続いている。実費で月数万円ほどだが、長く続けるには企業や個人からの寄付を募っていく必要が出てくる。
ボランティアスタッフの1人は話す。「回数を重ねるうち、子どもたちが私たちに挨拶をするようになって。はじめは緊張気味で言葉少なだったお母さんも、回を追うごとに子どもたちと積極的に向き合うようになっていく。継続していくことが重要だけれど、いつまでも代表が出し続けるのも厳しいから」。今後は店頭に募金箱を設けるほか、企業などのスポンサー探しも行う予定だという。
支援の輪 広げて
現在は同店だけだが、今後は全市に支援の輪を広げたいと櫻田代表は話す。「本当に来てほしいのは車で来られるような世帯じゃない。だからこそ、最低でも学区ごとに1つあれば、かなりの子どもに行き届くはず」。賛同者も少しずつ集まっており、今後は新拠点の手伝いも行っていくという。
食堂利用には申込書の提出が必要。日程など問い合わせは同店【電話】046・266・0047へ。
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